2018年度より様々な分野で使用されている画像解析ソフト(SYNAPS-VINCENT)を用いた新たな3D-CT精密画像解析法によって、長期経過症例の再生骨のCT値のヒストグラムを平均値、分散、歪度、尖度の4つのモーメントに分解し、分布パターンの数学的モデルを作成することで、培養骨膜細胞が再生骨と周囲既存骨の形態・骨質・血行動態に与える影響を数理的な解析をすすめている。このCT値より数学的モデルを作成する技術は肺野病変評価に使用されており、当研究で4つのモーメントの臨床的意義が明らかになれば、他の臓器の評価に応用できる技術となることが期待される。 既に術後4カ月の画像に対して行った解析では培養骨膜併用群が単峰型、コントロール群が二峰型の様相が認められた。術後4カ月の時点で有意差が生まれているため、本研究でも培養骨膜細胞の骨代謝活性促進効果をさらに裏付ける結果が予想される。また培養骨膜併用移植後のインプラントの安定性が検証できれば、当初の目的である重症歯槽骨萎縮症例に対する骨再生適応の拡大に加えて、歯科インプラント治療の早期終了、ならびに長期安定性を成し得ることができる。 2017年1月より「地域再生医療コンソーシアム」と題して企業と提携して地域の開業歯科医院、病院歯科、また他大学にての培養骨膜細胞の施用の導入を計画し、月1回の講演を行っている。本研究によってさらに当計画を後押しし、2019年には導入開始に至る予定である。
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