研究課題/領域番号 |
15K20485
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
上田 順宏 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (40571005)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 顎骨再建 / 下顎切除 / 手術シミュレーション |
研究実績の概要 |
審美的でなおかつ力学的に安定した顎骨再建を行うためには,術前シミュレーションが必須となる.適切な術前シミュレーションを確立するためには,審美性に影響する定量的な評価を行う必要があり,本年度は定量評価の指標開発に着手した. 京都大学情報学研究科の中尾恵,イーグロース社の今西勁峰と協力して下顎骨再建術計画システムである「biGAKU」の開発を行い,アプリケーションソフトウェアをホームページ上に公開した.元の下顎骨形状に近い再建を行うことを重視し,審美性の定量的な指標として,下顎骨切除領域の外縁と移植腓骨外縁がどの程度近いかを示す「形状誤差」.移植腓骨が切除下顎骨より最も突出している点を示す「最大突出値」.移植腓骨が切除下顎骨より最も陥凹している点を示す「最大陥凹値」.最も短い移植腓骨の長さを示す「セグメント長」を提案した. 「biGAKU」を使用し,側貌・正貌に影響するオトガイ部を含む顎骨再建シミュレーション手術を行い,「最大突出値」が大きくなりすぎないこと,また「セグメント長」が短くなりすぎないことが再建計画時の「定量的な指標」として,有用であることが示唆された. 力学的な評価として,三次元有限要素解析を行った.まず下顎辺縁切除についての解析を行い,残存する下顎骨が10mm以下となると,切除部にかかる応力が増大することを明らかにした.また,応力を緩和するためには再建プレートによる補強が有用であることをモデル上で再現した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下顎骨再建術計画システム「biGAKU」の開発が進んでおり,下顎骨再建手術における硬組織の審美性の定量評価が可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
下顎骨再建手術における軟組織の審美性の定量評価を行う.顔面軟組織のデータは3Dカメラにより採取する.また,力学的な評価として,三次元有限要素解析を進める.術前シミュレーションに基づいた手術を行った結果として審美性の定量評価,強度の定量評価を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては,研究図書の購入を行わなかったこと.また,初年度ということもあり,研究成果が学会発表の水準にまでは達しなかった部分があり,学会などへの出張費用が予定より少なかったこと.また,海外文献の作成に至らなかったため,翻訳のための料金が発生しなかったことが挙げられる
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次年度使用額の使用計画 |
本年度で生じた次年度使用額と,以降に請求する研究費を合わせた使用計画として,研究図書の購入を行うこと.学会への参加のための旅費に使用すること,海外文献の翻訳のための料金として使用することなどを計画している.
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