研究実績の概要 |
現在、再生医療分野において、組織再生のための人工足場材に関する研究が盛んに行われている。本研究では、シクロデキストリンを用いて再生医療のための生体吸収性材料を指向した新奇の有機‐無機ハイブリッドマテリアルを開発することを最終目的としている。 まず、本研究の第一課題であるネックレス状の超分子構造体(ポリロタキサン)の形成を検討するため、環状化合物としてシクロデキストリン(α‐,β‐,およびγ‐CD)を,貫通化合物としてポリ乳酸(PLA)やポリグリコール酸(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)をそれぞれ購入して検討した。超分子構造体の形成は、通常の湿式法を適用して、水および水系混合溶媒中において検討し、核磁気共鳴法(NMR)、質量分析(MALDI-TOF)、液体クロマトグラフィー(HPLC)、元素分析を使って解析した。 また、材料に剛直性を持たせるためにポリロタキサン同士を適度に連結する必要があり、そのために、環状化合物に連結部位を導入することを検討した。具体的には各種金属と結合可能なカルベンやシクロペンタジエニル等の官能基をシクロデキストリンへ導入できるか検討した。既存法で得たシクロデキストリンモノトシル体を原料とすることにより、シクロデキストリンの一級水酸基側を分子変換し、前駆体となるイミダゾリウム塩誘導体やシクロペンタジエン誘導体を合成し、NMR、MALDI-TOF, HPLC, 元素分析等を用いて、得られた化合物を構造決定した。
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