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2015 年度 実施状況報告書

α5β3インテグリンを介した癌進展メカニズムの解明と増殖抑制法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K20502
研究機関千葉大学

研究代表者

皆川 康之  千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (30639787)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードα5β3インテグリン / Angiopoietin-like 3 / 口腔扁平上皮癌
研究実績の概要

癌の進展においてインテグリンが重要な接着因子として、現在盛んに研究されている。インテグリンはシグナル伝達においても重要な役割を担い、その構成ドメインにより、結合因子やシグナル伝達経路、さらには細胞活動への影響などが異なっている。我々は先行研究において、口腔癌細胞において発現増強しているインテグリン構成ドメインは α5とβ3であることを明らかにした。本研究ではα5β3 インテグリンに作用する遺伝子群の中で、最も発現増強しているAngiopoietin-like3 (ANGPTL3)遺伝子に着目した。まず、口腔癌細胞株8種について ANGPTL3のmRNAとタンパクの発現状態を正常口腔粘膜上皮細胞と比較したところ、全ての細胞株において ANGPTL3の発現亢進を認めた。また口腔癌臨床検体においても正常口腔粘膜上皮と比較し、 mRNAとタンパクの発現は有意に亢進していた。さらに 臨床指標との相関関係を調べると、ANGPTL3の発現が高い症例ほど腫瘍径に有意な差を認めた。次に癌細胞株2種に ANGPTL3のshRNAを導入し、ANGPTL3発現抑制株(shANGPTL3株)とcontrol株(shMock株)を樹立、細胞増殖能試験、細胞遊走能試験、細胞浸潤能試験を行った。細胞増殖能試験では、2つの細胞株において120時間後より、 shANGPTL3株は shMock株と比較し、有意な差を認めた。細胞遊走能試験、細胞浸潤能試験では有意な差は認められなかった。さらにヌードマウスへshANGPTL3株と shMock株を移植したところ、in vitroの実験と同様に、腫瘍径に有意な差を認めた。
今後、ANGPTL3 が作用するα5β3 インテグリンのシグナル伝達経路にある遺伝子群に対する影響を明らかにし、ANGPTL3制御により癌細胞の進展を抑制する治療法や薬剤を検討していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度に予定していた研究計画には十分到達することができた。またこれまでの研究成果は、次年度以降の研究計画に大きく寄与できる内容であり、本年度の実績としては順調に進展している。

今後の研究の推進方策

今後の推進方策
ANGPTL3遺伝子の形質転換細胞を用いたマウス移植癌実験により、in vivo における腫瘍の増殖、転移実験を行い、転移に関する ANGPTL3 の役割を確認する。 またANGPTL3 が作用する α5β3 インテグリンのシグナル伝達経路にある遺伝子群の発現状態をreal time PCR法 を用い、ANGPTL3によるα5β3 インテグリンのシグナル伝達経路に対する影響を明らかにする。さらに、ANGPTL3、α5β3 インテグリンのシグナル伝達経路に影響を与える薬剤を検索し、薬剤によるANGPTL3・α5β3 インテグリンのシグナル伝達経路制御による癌細胞の進展を抑制する治療法・薬剤を検討する予定としている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] ANGPTL3 is a novel biomarker as it activates ERK/MAPK pathway in oral cancer.2015

    • 著者名/発表者名
      Koyama T, Ogawara K, Kasamatsu A, Okamoto A, Kasama H, Minakawa Y, Shimada K, Yokoe H, Shiiba M, Tanzawa H, Uzawa K
    • 雑誌名

      Cancer Med.

      巻: 4 ページ: 759-69

    • DOI

      10.1002/cam4.418.

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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