2017年度までに血清CD109濃度および血清CD44v6濃度を定量解析した頭頸部扁平上皮癌56症例を母集団として、性別・年齢・部位・pT/pN分類(UICC第7版)・pStage・組織学的分化度・飲酒歴・喫煙歴において、各臨床像で2群の平均血清濃度を比較した。t検定によりP<0.05をもって統計学的に有意差ありと判定した。また、各群において同一症例での術前術後の血清濃度の変化を、対応ある2標本のt検定により検討した。 血清CD109値は、術前平均32.24ng/mLで、pT分類においてT3+T4群が43.03ng/mLでT1+T2群の27.93ng/mLに対し有意に高値であった(P=0.021)。pN分類とpStageにおいてもN1+N2群(43.70ng/mL)およびStageⅣ群(46.26ng/mL)が、それぞれ原発切除単独+N0群(27.66ng/mL)およびStageⅠ+Ⅱ+Ⅲ群(27.32ng/mL)に対し有意に高値であった。 つづいて、術前術後の血清CD109値の変化を検討したところ、T3+T4群、N1+N2群、およびStageⅣ群において術後の有意な減少を認め、それらは各臨床像において術前のT1+T2群、原発切除単独群+N0群、およびStageⅠ+Ⅱ+Ⅲ群と同等であった。つまり血清CD109値は、進行病態において高値を呈し、腫瘍切除により減少することが示唆された。 CD44v6に関しても同様の解析を行った。血清CD44v6値は術前平均115.32ng/mLで、各臨床像での2群比較では、StageⅣ群(106.72ng/mL)が、StageⅠ+Ⅱ+Ⅲ群(126.57ng/mL)に対し有意に低値であり(P=0.029)、Stageの進行と共に減少する可能性が示唆された。各群の術前術後における平均値の比較では、有意な変化を示す臨床像は存在しなかった。
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