研究課題
今年度は軟骨無形成症モデルマウスの顎顔面形態解析を中心に研究を行った。軟骨におけるFGFR3過剰発現マウスを軟骨無形成症モデルマウスとして使用した。3ヶ月齢の軟骨形成不全モデルマウスの頭蓋骨のμCT撮影を行い(島津社製 inspeXioSMX-90CT)上顎27 ヶ所の計測点をμCT 上でとり、それぞれの直線距離を計測し比較を行ったところ軟骨無形成症モデルマウスは野生型マウスに比べ、明らかな中顔面の劣成長を認めた。その原因を調べるために、上顎骨の成長に重要な蝶後頭軟骨結合部(Spheno-occipital synchondrosis;SOS)の組織学的解析を行った。2週齢の軟骨無形成症モデルマウスのSOSはその中心部に骨化の促進を認め、早期の癒合を認めた。また、上顎骨の成長に重要とされている鼻中隔軟骨を採取し、3次元培養をしたところ、軟骨無形成症モデルマウスから採取した軟骨細胞は野生型マウスと比較し、細胞のサイズが小さく、また厚みも薄かった。さらに培養した軟骨組織からRNAを採取し、realtimePCRを施行したところ、軟骨基質を構成するアグリカンや軟骨細胞の肥大化のマーカーである10型コラーゲンの発現が低下していた。以上のことから軟骨無形成症モデルマウスに生じた上顎の劣成長は、SOSの骨化および、顎顔面を構成する軟骨組織における内軟骨性骨化の抑制により生じたことが考えられた。
2: おおむね順調に進展している
軟骨無形成症モデルマウスの顎顔面形態解析については順調に施行できた。
今後は軟骨無形成症モデルマウスとCNP過剰発現マウスを交配させることにより、CNPの顎変形症治療への有効性を検討する。
わずかであるが29230円の繰越となった
論文の投稿になどに充てる予定である。
すべて 2015
すべて 学会発表 (1件)