本研究は免疫栄養療法によって、臨床的に体内での免疫賦活作用が誘導増強されるのか解析し、それが口腔外科手術期の創部治癒機構の促進と、治療成績向上に寄与するのかを検討することで、口腔外科疾患における有用な免疫栄養療法の導入を目的としている。我々は臨床的検討からすすめるのにあたり、口腔がん患者における術前の各指標(リンパ球数、好中球数、血小板数、血清アルブミン値、総コレステロール値、CRP値)を用いて栄養学的指標(Glasgow Prognostic Score(GPS)、modified Glasgow Prognostic Score(mGPS)、Onodera’s prognostic nutritional index(PNI))および、我々が新たにカットオフ値を定めて用いた血小板/リンパ球数比(PLR)を加え、それらの項目と周術期に発症する術後創部感染(Surgical Site Infection)および生命予後の関連を検討した結果、術前の栄養学的指標は、SSIおよび生命予後に関連する因子であることが示せた。その結果を第62回日本口腔外科学会総会・学術大会にて発表し、ゴールドリボン賞を受賞した。現在その成果を国際誌に投稿中である。一方、実臨床での免疫栄養療法の効果を確認するため、詳細な体組成の計測のため部位別直接インピーダンス測定法(DSM-BIA)の計測可能な器材による検討を行っており、次年度に学術大会にて報告する予定である。
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