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2015 年度 実施状況報告書

口腔がんにおけるTERT抑制遺伝子の同定とその機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 15K20524
研究機関鳥取大学

研究代表者

西尾 幸与  鳥取大学, 医学部, 研究員 (80726737)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード口腔がん / テロメレース / 染色体工学 / 次世代シークエンサー
研究実績の概要

本年度においては、以下に示す実験を「研究目的」、「研究実施計画」に沿って行った。
テロメア逆転写酵素(TERT:Telomerase reverse transcriptase)は染色体末端(テロメア)を伸長し、がん細胞に不死化能を与える酵素テロメレースの主要構成因子の1つである。多くのがん細胞ではTERTの過剰発現が異常なテロメレースの活性に寄与していることが知られている。本年度は、次世代シークエンサーを用いた網羅的な遺伝子発現比較解析(RNA-seq)によってヒト3番染色体上に存在が示唆されたTERT抑制に関わる候補遺伝子の獲得を試みた。具体的には、①親株となるヒト口腔扁平上皮がん細胞株HSC3と②HSC3細胞にヒト正常3番染色体を導入・保持させることでTERTの発現抑制効果が認められた初代培養のHSC3#3に加えて、③HSC3#3を長期継代培養することによって再びTERT活性が認められたリバータント細胞であるHSC3#3R細胞を用いて、RNA-seqによりこれら異なる細胞間での遺伝子の発現比較を行った。その結果、HSC3とHSC3#3R細胞では発現が低くHSC3#3で発現が高く、かつヒト3番染色体上にコードされている遺伝子として遺伝子Aを候補として獲得した。興味あることに、遺伝子Aは腎細胞がんにおいてTERT抑制遺伝子として既に報告されていた遺伝子であった。遺伝子AによるTERT抑制分子メカニズムは未だ不明であり、ヒト口腔がんにおけるがん抑制遺伝子の可能性についても報告がないことから、今後は遺伝子Aについて、TERT抑制機能に関わる詳細な機能解析を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

次世代シークエンサーと染色体工学技術を融合させることで、既知の遺伝子であったがターゲットであるTERT抑制遺伝子の獲得に至ったことは、非常に大きな進捗であると考えらえるため。また、候補遺伝子によるTERT抑制機能ついては未知な部分が多く残されており、今後の実験を進める上でも大きな成果であったと言える。

今後の研究の推進方策

口腔扁平上皮がんにおける遺伝子AのTERT抑制効果およびその分子機構を明らかにするための実験を行う。具体的には、HSC3細胞における過剰発現実験およびHSC3#3細胞におけるノックダウン実験を行い、より直接的な遺伝子AのTERT抑制効果を検討する。加えて、得られた情報を基に、病理組織標本を用いて免疫組織化学染色法を行い、得られた結果から口腔扁平上皮がんの早期診断、悪性度・浸潤度・転移性といった生命予後に関わる因子との関連性について検討を行っていく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Repression of hTERT transcription by the introduction of chromosome 3 into human oral squamous cell carcinoma.2015

    • 著者名/発表者名
      S. Nishio, T. Ohira, N. Sunamura, M. Oshimura, K. Ryoke, H. Kugoh.
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communication

      巻: 466 ページ: 755-759

    • DOI

      doi: 10.1016/j.bbrc.2015.09.119.

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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