研究実績の概要 |
初めにH27年度に確認したデクスメデトミジン(DEX)によるIL-6の産生抑制効果について、DEXの濃度による変化を検討した。また、同時にTNF-αについても検討した。マウスマクロファージ由来株細胞であるRaw264.7の細胞数を調整し、LPS10ng/ml(L)群、L+DEX0.1μM群、L+DEX1μM群、L+DEX10μM群、L+DEX50μM群に分けて反応させた(各群n=7)。6時間反応させた後上清を回収し、ELISAで測定した。DEX1μM、10μM、50μMによりIL-6の産生は有意に抑制され、またその効果は濃度依存性に有意に認められた。TNF-αの産生も、DEXにより濃度依存性に抑制される傾向ではあったが、有意差は認められなかった。 次に、DEXにより増加し抗炎症作用を有すると仮説した11, 12-EET/DHETの計測を行った。上記と同様に、Raw264.7の細胞数を調整し、L群、L+DEX0.1μM群、L+DEX1μM群、L+DEX10μM群、L+DEX50μM群に分けて反応させた。6時間後、細胞を回収して前処理した後、ELISAで測定した。DEXの濃度依存性に11, 12-EET/DHET産生は増加傾向であったが、LPS群での産生が最も高く、DEXの投与によりEETの産生が抑制された。この結果から、DEXの抗炎症作用はEETを介するのではなく、EETの産生よりも上位で作用しているのではないかと考えられた。
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