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2016 年度 実施状況報告書

癌細胞の低酸素、酸性環境下における薬剤耐性に対する治療薬の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K20536
研究機関徳島大学

研究代表者

渡邉 佳一郎  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 助教 (20634554)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード悪性腫瘍 / 新規治療薬 / 酸性環境
研究実績の概要

多発性骨髄腫(MM)骨病変部では活性化した破骨細胞や酸性環境などがMM細胞に治療抵抗性を賦与する。治療成績の向上のためには骨病変部酸性環境で高い抗腫瘍効果を発揮する治療法の開発が課題として残されている。そこで今回、MM骨病変部酸環境でのRM-Aの抗腫瘍効果の機序を明らかにすることを目的として以下の検討を行い、結果を得た。【方法・結果】1.MM細胞株RPMI8226、INA6、TSPC-1に酸性環境下で抗腫瘍効果を発揮するリベロマイシンA(RM-A)1μMを添加し1日間培養すると、pH7.4では細胞死が誘導されなかったが、pH 6.4ではcaspase3の活性化とともにannexinV陽性の死細胞が著明に誘導された。2.転写因子Sp1は末梢血単核細胞ではほとんど発現していなかったが、MM細胞株や患者MM細胞では無刺激でも高発現していた。Sp1阻害薬 terameprocolの添加により、MM細胞株のIRF4, Pim-2、cMycの発現が著減し細胞死が誘導された。また、MM細胞をpH6.8で培養するとSp1の核移行がPI3K-Akt経路依存性に促進され、標的遺伝子のHDAC1の発現が亢進した。3.酸性環境下においてRM-Aで処理したMM細胞では、Sp1のタンパク量が著減するとともにその転写標的のPim-2、cMycの発現も抑制されていた。4.酸性環境において、RM-Aの添加によりCaspase8が活性化され、それに伴いSp1の発現も低下しており、RM-Aはcaspase8を活性化してアポトーシスを誘導するとともに、Caspase8の活性化を介してSp1の発現を抑制していることも示唆された。
MM細胞に高発現しているSp1は酸性環境内のMM細胞の治療抵抗性の獲得に重要な役割を演じていると考えられるが、RM-Aは酸性環境に存在するMM細胞のSp1を標的にできることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

酸性環境下での腫瘍細胞(骨髄腫細胞)のタンパク動態・機能、および酸性環境下で抗腫瘍効果を発揮するリベロマイシンAの作用機序は明らかになったが、他の酸性環境下で効果が高まる可能性のある抗腫瘍薬に関しての研究が進んでいない。

今後の研究の推進方策

酸性環境下で抗腫瘍効果を示す新規薬剤の効果をin vitroにて検討する。
また、in vitroにて効果が高かった薬剤のin vivoでの効果を骨髄腫モデルマウスを用いて検討する。
さらに酸性環境下での薬剤耐性機序のさらなる解明とリベロマイシンAの抗腫瘍効果の作用機序もさらに詳しく調べる。

次年度使用額が生じた理由

国際学会に参加できなかったため、予定していた旅費分の次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

マウス骨サンプルの解析委託費用として使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] Reveromycin A reduces Pim-2 and Sp1 to induce myeloma cell death preferentially in acidic miliues.2016

    • 著者名/発表者名
      Keiichiro Watanabe, Jumpei Teramachi, Ryota Amachi, Asuka Oda, Hirofumi Tenshin, Masami Iwasa, Masahiro Hiasa, Shingen Nakamura, Hirokazu Miki, Itsuro Endo, Makoto Kawatani, Hiroyuki Osada, Eiji Tanaka, Toshio Matsumoto, Masahiro Abe
    • 学会等名
      第78回日本血液学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川県・横浜市)
    • 年月日
      2016-10-13 – 2016-10-15
  • [学会発表] リベロマイシンAによる酸性環境での骨髄腫細胞の治療抵抗性の克服2016

    • 著者名/発表者名
      渡邉佳一郎、寺町順平、小田明日香、天知良太、天真寛文、日浅雅博、中村信元、三木浩和、遠藤逸朗、川谷誠、長田裕之、田中栄二、松本俊夫、安倍正博
    • 学会等名
      第34回日本骨代謝学会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(大阪府・大阪市)
    • 年月日
      2016-07-20 – 2016-07-23

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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