研究課題/領域番号 |
15K20544
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
鳴瀬 智史 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (70549609)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | セツキシマブ / EGFR / PIK3CA遺伝子 / PI3Kp110α |
研究実績の概要 |
セツキシマブ投与による獲得耐性には癌細胞における癌遺伝子RASタンパクの1つであるH-RAS遺伝子変異に伴うRAS/MAPKあるいはPI3K のサブユニットの1つであるPIK3CA遺伝子変異に伴うPI3K/AKT/mTORなどの経路の異常活性が関与するとの報告がある。我々は、口腔癌におけるPIK3CA遺伝子がコードするPI3Kp110αタンパク発現とセツキシマブ投与患者における治療成績の相関性について、免疫組織化学染色を用いて検討した。また、口腔癌細胞株を用い、PI3Kp110αの発現を確認後、各細胞株をセツキシマブで処理し、セツキシマブ感受性との相関性について検討した。 当科でのセツキシマブ投与患者の治療成績はCR8例、PR4例、SD2例、PD3例で、奏効率は70.6%、病勢コントロール率は82.4%であった。PI3Kp110αの発現は腫瘍先端部に強く出る傾向にあり、陽性率は58.8%で、治療成績との相関ではSD/PD群で有意に高い発現がみられた。生存率では有意な相関性はないが、6か月生存率および1年生存率で比較すると、タンパク陽性症例で低い傾向にあった。細胞株でのタンパク発現とセツキシマブ感受性については、有意な相関性はなかったが、浸潤指数との間に有意な相関性がみられた。 以上の結果より現段階では組織学的なタンパク発現とセツキシマブ治療成績との間に有意な相関性があり、治療効果予測因子となりうる可能性が示唆されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PI3Kp110αの発現とセツキシマブ耐性との相関性について示すことができたため、進捗状況としてはおおむね順調と考える。
|
今後の研究の推進方策 |
PI3Kp110αをノックダウンさせた細胞株と親株でセツキシマブの感受性について検討する。またmTOR阻害薬であるeverolimusを併用し、治療効果増強について検討する。さらにヌードマウスに上記細胞株を移植し、同様にセツキシマブおよびmTOR阻害薬併用での感受性試験を行う予定としている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
納品請求が次年度に繰り越したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
前年度に引き続き、予定している研究計画を遂行する。
|