研究課題
口唇口蓋裂(以下、CLPと示す)は複雑な病因を持つ先天異常である。日本人の発症率は約500人に1人とされ、先天性の体表奇形として最も頻度が高く、患者の多くが遺伝要因と環境要因が複雑に絡み合って発症に至る多因子疾患と考えられている。世界各国の研究者により原因遺伝子や、環境要因解明のための研究を行うもその全容解明には至っていない。そこで、当科における対外的に高い評価を得てきたラオス国での医療援助活動を通じて、ラオス人CLP患者の血液試料を積極的に収集し、遺伝的解析と疾患予防に関する研究 を行ってきた。口唇口蓋裂は出生時から成人に至るまで、審美・哺乳・咀嚼・言語障害を生じ、生後間もなくから手術を要する等、患者や家族の負担は計り知れない。さらに、ラオス人はCLPに関する遺伝及び環境要因、疫学について世界的に報告がない。この希少なラオス人のCLP関連候補遺伝子解析と日本人との比較、生活環境調査によって新たな知見を発見し、疾患予防の臨床応用を目指していきたいと考え、本研究費を用いて研究活動を行った。平成27年から平成29年まで、それぞれ年1回ラオス国にてCLP無償手術プロジェクトを行い、1回のプロジェクトで患者およそ20名の血液試料を収集することができた。これら血液試料の収集を行いながら、特にTaqman SNP assayを行うため過去の報告(GWASやAssosiation Study)を参考に、ラオス人のSNP typingのターゲットして興味深いSNPを選抜した。その中には疾患発生予防に関与する葉酸代謝候補遺伝子のSNPや、ドイツ人GWASで高い関連性を示した8q24領域のSNP(rs987525)、アジア人種で高い相関を示されたGSTT1、IRF6を中心としたに関する検討を行ってきた。これら研究活動の一部を海外誌に投稿を行い、impact factorを得ることができた。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Congenit Anom (Kyoto).
巻: 不明 ページ: 不明
10.1111/cga.12255
Oral Surgery, Oral Medicine, Oral Pathology, Oral Radialogy
巻: 123 ページ: 606~612
http://dx.doi.org/10.1016/j.oooo.2017.01.007
Oncol Lett
巻: 14 ページ: 257~263
10.3892/ol.2017.6139