研究課題/領域番号 |
15K20551
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
飯田 昌樹 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (70613511)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 口腔癌 / インドシアニングリーン / 温熱療法 / 光線力学療法 |
研究実績の概要 |
本研究は超選択的動注化学放射線療法に応用可能な新たな癌治療戦略として、インドシアニングリーンを用いた超選択的動注法による光線力学温熱療法(Photodynamic Hyperthermia Therapy:PHT)の開発を目的とする。インドシアニングリーンは蛍光造影法の検査試薬、肝機能検査などに用いられるが、光照射により発熱することが知られている。口腔癌治療における臨床応用としては、申請者らが行っている超選択的動注法を用いてインドシアニングリーンを腫瘍の栄養動脈に投与し、腫瘍組織に高濃度に集積させることで、光照射による温熱療法と光線力学療法の治療効果をそれぞれ向上させる可能性があると考える。 平成27年度は、ヒト由来扁平上皮癌細胞株においてインドシアニングリーンを用いたPHTの抗腫瘍効果を検討した。ヒト由来扁平上皮癌細胞株にインドシアニングリーンを投与し、光照射を行うことで発生する熱による温熱効果と、抗癌活性のあるROSの産生量の評価を行った。 平成28年度は、ヌードマウス皮下腫瘍モデルを用いた動物実験におけて抗腫瘍効果の検討を行った。まずヒト由来扁平上皮癌細胞をイソフルラン吸入下にてヌードマウスの大腿部に移植し、ヌードマウス皮下腫瘍モデルを作成し、大腿部の腫瘍直径が5mmになったものを皮下腫瘍モデルとして用いた。市販濃度の範囲内で濃度を変えたインドシアニングリーンを腫瘍局所に投与し、温熱療法およびPDTによる有効な抗腫瘍効果が得られ、かつ副作用が最小限に抑えられる投与量を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、ヒト由来扁平上皮癌細胞株を用いた細胞実験にて、インドシアニングリーン投与して光照射を行うことで抗腫瘍効果が得られることを確認した。 平成28年度は、ヌードマウス皮下腫瘍モデルを用いた動物実験におけて抗腫瘍効果の検討を行った。 まずヒト由来扁平上皮癌細胞(5×10^5cells/ml)をイソフルラン吸入下にてヌードマウスの大腿部に移植し、ヌードマウス皮下腫瘍モデルを作成した。大腿部の腫瘍直径が5mmになったものを皮下腫瘍モデルとして用いて、腫瘍部にインドシアニングリーンの局所注射を行った。局所注射するインドシアニングリーンの至適投与量を検討するために、市販濃度の範囲内で濃度を変えたインドシアニングリーンをヌードマウス皮下腫瘍モデルの腫瘍局所に投与し、温熱療法および光線力学療法として有効な抗腫瘍効果が得られ、かつ副作用(マウスの体重減少、行動異常、肝臓などの組織学的変化)が最小限に抑えられる投与量の検討を行ったが、個体差などの問題から至適投与量の決定には至っておらず、検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、まずインドシアニングリーン(ICG)の至適投与量を決定する。その後、光照射によるICGの発熱条件を検討し、動物実験で抗腫瘍効果の検討を行う。ICGによるPHT治療群として、マウスを以下の4グループに分け(各群10匹)抗腫瘍効果の検討を行う予定である。①コントロール群(ICG投与なし、光照射なし)、②光照射のみ群(ICG投与なし、光照射あり)、③局所投与PHT群(ICGを大腿部に局所投与し光照射)。④静脈投与PHT群(ICGを静脈投与し光照射)。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヌードマウス皮下腫瘍モデルに投与する最適なインドシアニングリーン投与量を検討中であり、当初平成28年度に予定していたヌードマウス皮下腫瘍モデルを用いた抗腫瘍効果に関する動物実験に遅延が生じたため物品費が執行できず残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、まずインドシアニングリーン(ICG)の至適投与量を決定する。その後、光照射によるICGの発熱条件を検討し、ICGによるPHT治療群として、マウスを以下の4グループに分け(各群10匹)抗腫瘍効果の検討を行う予定である。①コントロール群(ICG投与なし、光照射なし)、②光照射のみ群(ICG投与なし、光照射あり)、③局所投与PHT群(ICGを大腿部に局所投与し光照射)。④静脈投与PHT群(ICGを静脈投与し光照射)。
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