研究課題
本研究は超選択的動注化学放射線療法に応用可能な新たな癌治療戦略として、インドシアニングリーン(ICG)を用いた超選択的動注法による光線力学温熱療法(Photodynamic Hyperthermia Therapy:PHT)の開発を目的としたものである。ICGは蛍光造影法の検査試薬、肝機能検査などに用いられるが、光照射により発熱することが知られている。口腔癌治療における臨床応用としては、申請者らが行っている超選択的動注法を用いてICGを腫瘍の栄養動脈に投与し、腫瘍組織に高濃度に集積させることで、光照射による温熱療法と光線力学療法の治療効果をそれぞれ向上させ、抗腫瘍効果を得ることを想定している。平成27年度は、ヒト由来扁平上皮癌細胞株においてICGを用いたPHTの抗腫瘍効果を検討した。ヒト由来扁平上皮癌細胞株にICGを投与し、光照射を行うことで発生する熱による温熱効果と、抗癌活性のあるROSの産生量の評価を行った。平成28年度は、ヌードマウス皮下腫瘍モデルを用いた動物実験におけて抗腫瘍効果の検討を行った。まずヒト由来扁平上皮癌細胞をイソフルラン吸入下にてヌードマウスの大腿部に移植し、ヌードマウス皮下腫瘍モデルを作成し、大腿部の腫瘍直径が5mmになったものを皮下腫瘍モデルとして用いた。市販濃度の範囲内で濃度を変えたICGを腫瘍局所に投与し、温熱療法およびPDTによる有効な抗腫瘍効果が得られ、かつ副作用が最小限に抑えられる投与量を検討した。平成29年度は、マウス皮下腫瘍モデルを①コントロール群(ICG投与なし、光照射なし)、②光照射のみ群(ICG投与なし、光照射あり)、③局所投与PHT群(ICGを大腿部に局所投与し光照射)、④静脈投与PHT群(ICGを静脈投与し光照射)の4群に分けて抗腫瘍効果を検討した。
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