研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、netrin-1の骨芽細胞に対する作用の解析を行った。その結果、netrin-1の発現は骨芽細胞の分化過程において抑制されていた。Recombinant netrin-1を骨芽細胞に作用させるとcollagen 1a発現の低下とALP活性の抑制が認められた。次にBMP-4を強制発現させた骨芽細胞にRecombinant netrin-1で処理したところ、濃度依存的にALP遺伝子発現が低下した。netrin-1を強制発現させた骨芽細胞ではALP遺伝子発現が低下し、BMP-4とnetrin-1を同時に強制発現させた骨芽細胞でもALP遺伝子発現が低下していた。骨芽細胞にnetrin受容体であるneogenin 1, Unc5b, ADORA2Bが発現していることを見出した。そこで、骨芽細胞にneogenin 1, Unc5b, ADORA2Bそれぞれの受容体をノックダウンさせたところ、mRNAレベルで各受容体の遺伝子発現が低下していた。次に、neogenin 1, Unc5b, ADORA2Bそれぞれの受容体をノックダウンしてnetrin-1を作用させたところ、ALP発現は低下していた。neogenin 1, Unc5b, ADORA2Bのいずれかの受容体の組み合わせが必須であることが示唆された(Sato T, In Vivo 2017)。 DSCAM受容体はnetrin受容体の1つであるが、破骨細胞ではDSCAMが発現していることを見出している。netrin-4をRANKL存在下の骨髄細胞に作用させると破骨細胞形成が抑制されるが、抗DSCAM抗体をあらかじめ処理することで破骨細胞形成の抑制が阻害されることを見出している。今後、DSCAMノックアウトマウスから骨髄細胞を採取して破骨細胞形成能の影響を調べる予定である。
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