ビスフォスフォネート系製剤(BP)やヒト型モノクロナール抗体製剤(デノスマブ)を代表とする骨吸収抑制剤によって起こる薬剤関連 顎骨壊死medicationrelated osteonecrosis of the jaw (MRONJ)は現在深刻な問題となっており、侵襲的歯科治療を困難にする要因となっている。 歯性感染症により歯周囲の海綿骨に骨硬化が認めることが知られている。また骨吸収抑制剤の投与によっても顎骨の海綿骨は硬化する。それより化膿性骨髄炎による海綿骨の変化と骨吸収抑制剤による変化をCT値を用いて定量的に評価した。MRONJと診断された50症例、化膿性下顎骨骨髄炎(OM)と診断された20症例、骨吸収抑制剤の投与歴がなく顎骨内に病変を認めない対照群50症例について下顎骨における海綿骨CT値を計測し一元配置分散分析法を用いて統計学的比較検討した。MRONJ群はOM群よりも有意に高値(P<0.01)であった。またOM群は対照群よりも有意に高値(P<0.05)であった。しかしながらOM発症は非発症部位と比較しCT値に有意差は認めなかった。このことよりMRONJによる海綿骨の骨硬化はOMによるものよりも高度であることが示唆された。
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