研究課題/領域番号 |
15K20562
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
真下 貴之 日本大学, 歯学部, 非常勤医員 (30736450)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 骨髄由来間葉系幹細胞 / BRONJ / ビスフォスフォネート製剤 / 細胞移植 / 顎骨壊死 |
研究実績の概要 |
C57BL/6Jマウスの大腿骨および腸骨を粉砕。粉砕された骨片は0.2%コラゲナーゼ溶液にて37℃で60分間インキュベートし,骨髄および内骨膜表面に付着している細胞を酵素処理によって単離する。これら処理後に得られた細胞からフローサイトメトリーを用い, CD45-/TER119-/PDGFRα+/Sca-1+細胞を分取する。このような方法で一定量の骨髄由来間葉系幹細胞採取のための技術を習得し、反復操作が可能となった。また、ビスフォスフォネート製剤、抗癌剤、ステロイド剤の3製剤投与によってBRONJ様症状を発症するマウスも高確率での作製が可能となった。細胞移植実験については、まず、通常マウスの抜歯窩へ骨髄由来間葉系幹細胞を移植する実験を進めており、抜歯窩への細胞移植の術式も確立できた。骨髄由来間葉系幹細胞の移植により、通常マウスの抜歯窩での骨再生時、骨髄組織形成を促進する効果があることを確認している。現在、その効果をもたらせた間葉系幹細胞の効果を考察中であり、その内容について論文も執筆している段階である。また、本実験であるBRONJ様マウスの抜歯窩への細胞移植実験も並行して行っている。現状では、まだ実験動物数は少ないものの、細胞移植によるBRONJ症状の改善傾向を認めつつある。今後はさらなる追加実験を行い、BRONJ様マウスにおける骨髄由来間葉系幹細胞移植のさらなる効果を検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は研究目標であるBRONJ様マウスの抜歯窩に対する骨髄由来間葉系幹細胞移植実験を遂行する前に、まずは通常マウスの抜歯窩へ細胞移植を行い、細胞そのものの移植効果を検討することを優先した。その実験により、間葉系幹細胞の採取、抜歯窩への細胞移植の術式が確立した。また3製剤の投与によるBRONJ様マウスの作製実験により、高確率でBRONJ様マウスを作製することが可能となっている。現時点で研究計画の中での前実験は概ね終了しており、BRONJ様マウスの抜歯窩への細胞移植実験も開始できている。現状では、n数は少ないものの、細胞移植によりBRONJの発症抑制が見られており、今後はn数を増やす段階に移行しているため、進行状況としては概ね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
フローサイトメトリーを用いて骨髄由来間葉系幹細胞を分取し、継続的に移植細胞の獲得を行っていく。また、通常マウスへの細胞移植実験の結果をさらに文献的に考察し、作成中の論文を完成させる予定である。また、BRONJ様マウスの抜歯窩へ骨髄由来間葉系幹細胞を移植するn数を増やし、移植の効果を放射線学的、組織学的、免疫組織学的に評価し、BRONJの新たな治療方法としての幹細胞移植の有用性を証明していきたい。また、今年度は学会にて現在の進行状況を発表し、さまざまの意見をいただいた上で、実験の方向性を確立していきたいと思っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた動物実験の一部が次年度に繰り越されたため、残金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
マウス大腿骨、腸骨から骨髄由来間葉系幹細胞を分取するためには、CD45-/TER119-/PDGFRα+/Sca-1+細胞をフローサイトメトリーを用いてソーティングしする必要があり、その際に必要な抗体を継続的に購入する予定である。またモデルであるBRONJ様マウスを作製するためにビスフォスフォネート製剤(ゾメタ)、抗癌剤(ドセタキセル)、ステロイド(デキサメタゾン)の3薬剤の追加購入を予定している。 その他、実験の再現性を確立するために動物の追加購入、組織学的、免疫組織学的評価のための切片作製に必要な種々の消耗品を追加で購入していく予定である。また、積極的な学会発表や論文投稿予定しており、学会参加費、英文校正料、論文投稿料等がさらに必要となる。
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