研究課題
本研究は,認知症患者における認知機能障害の病態と唾液成分変化との関連性を科学的に明らかにし,認知機能障害の病態評価を唾液検査に応用しようとする試みである.これは認知症の早期診断・予後管理にも応用できる可能性がある.また,唾液検査は簡便であることから,患者家族にも利用可能であり,社会問題である患者数の改善や家族の負担減少にも貢献できることが考えられる.これらのことから,認知機能障害の新規の病態評価法の開発を目標として実験を行った.まず初年度は,認知症モデルマウスを用いて,認知機能障害による唾液成分の変化をメタボローム解析で検討し,認知機能障害のマーカーとなる物質を同定した.認知症の発症率ではアルツハイマー型と脳血管性のものが8割近くを占めている.そこでこれまで報告のあるそれぞれのタイプの認知症モデルマウスを用いて,唾液成分において健常マウスと発現量に差があるものを検索し,認知機能障害と関連する唾液中物質をメタボローム解析により同定した.そして,次年度は動物実験で同定された物質のうち,ヒト唾液中で検出可能なものを決定するため,認知症患者の唾液サンプルを用いて,認知機能障害の病態と特異性の高い物質を検索し、複数の代謝産物を同定した.これらの結果より,最終年度は唾液成分と認知機能を関連付ける物質が特定でき,唾液簡易キットの検討が可能となった.これらの結果は複数学会での発表のほか,現在論文執筆中である.
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