研究実績の概要 |
ヒト末梢血から得たPBMCをIL-2とzoledronate存在下で培養することで、大量のVγ9Vδ2T細胞を得ることができた。Vγ9Vδ2T細胞は、zoledronateで処理した口腔癌細胞株と共培養することで活性化できることを、複数のドナー由来のVγ9Vδ2T細胞を用いて確認した。活性化の指標としてインターフェロンγ発現をもちいた。癌細胞を処理するzoledronateの濃度に依存してVγ9Vδ2T細胞によるインターフェロンγの産生量が増加した。また、Vγ9Vδ2T細胞が口腔癌細胞にアポトーシスを誘導することを複数の口腔癌細胞株を用いて確認した。細胞死の評価は癌細胞への蛍光標識Annexin Vの結合により評価した。以上の結果からVγ9Vδ2T細胞はビスホスホネート処理をした口腔癌細胞を認識し、活性化され、殺傷することが明らかとなった。 Vγ9Vδ2T細胞はそのT細胞受容体であるVγ9Vδ2TCRにより標的細胞のBTN3A1を認識する。またNKG2Dにより標的細胞のNKG2DLsを認識する。このため、口腔癌細胞上に発現するこれらのリガンドをFACSにより解析した。検討したすべての口腔癌細胞株でBTN3A1の発現を確認した。またNKG2DLであるMICA/B、ULBP1,2,3,4,5,6の発現を特異抗体を用いて解析した。その結果用いた口腔癌細胞により発現するNKG2DLの種類は異なるものの、すべての細胞株で少なくとも1つ以上のNKG2DLの発現を確認した。以上の結果からVγ9Vδ2T細胞は口腔癌細胞を特異的受容体により認識し活性化、殺傷することが明らかとなった。
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