研究実績の概要 |
前年度までにVγ9Vδ2T細胞が窒素含有ビスフォスフォネート処理された口腔癌細胞によって活性化されインターフェロンγを産生し、癌細胞を殺傷することが明らかとなった。また、複数の口腔癌細胞株でNKG2D Ligands (MICA, MICB, ULBPs)の発現が確認できたことから、抗原特異的な活性化機構に加えてNK受容体による認識・活性化機構の存在が示唆された。本年度は重度免疫不全マウス(NSGマウスまたはNOGマウス)を用いたヒト化マウスモデルの構築に向けた検討を行った。複数種類の口腔癌細胞株(SAS, Ca9-22, HSC-2, HSC-3, HSC-4, KOSC-2, SKN-3, HO-1-N-1, SCC-4, KON)にゾレドロン酸(0.1, 1, 10uM)を作用させて細胞増殖実験を行った結果、高濃度(10uM)のゾレドロン酸処理ではすべての細胞株に増殖活性の抑制が確認されたが、一部細胞株では低濃度(1uM)でも増殖抑制がみられた。ヒト化マウスモデルではVγ9Vδ2T細胞とともにゾレドロン酸を投与するが、投与されたゾレドロン酸による細胞抑制は、Vγ9Vδ2T細胞による抑制作用の評価には不都合である。このため、in vitroの実験で明らかとなったゾレドロン酸高感受性細胞株は、重度免疫不全マウスに移植する口腔癌細胞からは除外する必要がある。本年度の検討で3種類の口腔癌細胞株がヒト化マウスモデル構築の候補細胞株として選別された。
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