研究実績の概要 |
骨芽細胞におけるエピジェネティックな遺伝子発現制御を明らかにするために、マウス骨芽細胞様細胞株(MC3T3-E1)を用いて以下の実験を行った。 1.MATIIがOsterix遺伝子の発現を抑制しているか検証:不死化したマウス胎児線維芽細胞においてメチオニンアデノシル転移酵素(MATII)がCOX2遺伝子発現を抑制している報告がある(KeraY et al.JBC.2013)。MATII阻害薬シクロロイシンを用いてMATIIの機能を低下させた骨芽細胞およびコントロールの骨芽細胞からmRNAを抽出し、定量PCRを用いてOsterix遺伝子の発現量を解析したところ、Osterix遺伝子発現を抑制していることが示唆された。 2.Smad3がOsterix遺伝子の発現を抑制しているか検証:Osterix遺伝子プロモーター領域上に転写因子Smad3の結合しうる領域が存在し(Nishio.Y et al.Gene,2006)、これらは抑制性ヒストンメチル基転移酵素Setdb1(Pei et al.Cancer Res,2014),Suv39h1(Yu et al.JBC,2011)と相互作用を持ち標的遺伝子の発現を抑制している報告がある。MC3T3-E1細胞において、Smad3はOsterix遺伝子発現を抑制しているか検証した。Smad3ノックダウンおよびコントロールの骨芽細胞からmRNAを抽出し、定量PCRを用いてOsterix遺伝子の発現量を解析したところ、Smad3はOsterix遺伝子の発現を抑制していることが示唆された。 3.MATIIとSmad3が相互作用しているか検証:MATIIとSmad3はOsterix遺伝子を抑制していることが示唆され、これらの因子が相互作用しながらOsterix遺伝子の発現を制御している可能性が考えられる。MC3T3-E1細胞において、共免疫沈降実験を行ったところMATIIとSmad3は相互作用していることが示唆された。
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