研究実績の概要 |
再生医療は近年様々な領域で研究が推進されており、歯科分野においても、失われた歯に対する次世代の歯科治療として再生歯の研究が盛んに行われてきており、患者自身の細胞を三次元的に再構築し、生理的に機能する歯を再生させる歯科再生医療の実現化が期待されている。申請者らは、再生歯の生理的機能を特定する因子を探索したところ、IGF-I添加により再生歯の大きさの増大と咬頭数の増加を認めた。IGF-Iが、再生歯の大きさに関与していることを明らかにしたが、再生歯の咬頭形成の分子メカニズムは未だ不明である。そこで本研究では、咬頭形成に必須のエナメル結節とIGF-Iの関連性を解明するために、マイクロアレイにより、IGF-Iによるエナメル結節形成過程における遺伝子発現を網羅的に解析し、IGF-Iにより発現制御を受ける下流因子の同定と機能的解析を進める。本年度は、IGF-Iによるエナメル結節形成過程における遺伝子発現の網羅的解析を行った。野生型マウス胎仔から胎生14.5日齢の下顎臼歯歯胚を摘出し、IGF-I添加、非添加にて器官培養(Ikeda et al, PNAS, 2009)を7日間行った後、IGF-I添加、非添加の歯胚を各々上皮細胞と間葉細胞に分離した。得られた上皮細胞を用いてマイクロアレイを行い、歯の発生において上皮に発現する因子に着目して解析を行った。さらに、解析した因子のRNAを試料として用い、リアルタイムPCRにより定量的に解析し、IGF-I添加群、非添加群における発現量の比較を行った。
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