研究課題/領域番号 |
15K20581
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
加藤 千帆 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (80706987)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 液状飼料飼育 / 不正咬合 / 電気生理 / 運動野 / 感覚野 |
研究実績の概要 |
近年、食育に関心が高まっており、よく噛むことへの重要性が認識されている。一方、日本人において歯科矯正治療への期待は歯の排列のみのことが多く、咬合の重要性は理解されにくい。今まで、成長期における不正咬合が全身に与える影響について様々に検討されてきたが、食感に関する情報が投射し処理される大脳皮質運動野・感覚野に関しては不明な点が多い。したがって、本研究の具体的な目的は、「不正咬合が大脳皮質の発達に与える影響を解明」ことである。液状飼料飼育に対し、電気生理学的手法を用い、成長期における不正咬合の影響を中枢から捉えていくことが本研究の独創的な点であり、研究結果は歯科領域のみならず、成長期の食生活指導において非常に有意義なものであると考える。 本年度は、実験方法確立のため、成長期ラットを実験動物とし、成長期における大脳皮質一次運動野におけるホムンクルスの発達を検討する目的で、大脳皮質一次運動野に刺激を与え、それに対する顎二腹筋・オトガイ舌筋活動について検討を行った。その結果、5~9週齢ラットにおいて一次運動野におけるホムンクルスは拡大されること、9~11週齢においてホムンクルスは大きさが変化しないことが示された。3、4週においては記録を取ることはできたものの、安定しない結果となった。 以上の結果を踏まえ、現在は離乳直後の液状飼料飼育における一次運動野におけるホムンクルスの発達について検討を行っている。また、成長期における大脳皮質一次感覚野の口腔領域に関する機能局在の変化についても検討を開始しているが、結果が安定しない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一次運動野におけるホムンクルスの発達を検討する記録手技獲得においては、成獣ラットでは確立されている。そのため、後期成長期である、7~9週齢においては実験を行うことができていた。しかし、本年度になり5週齢については安定した記録を取ることができるようになったが、3~4週齢については体と共に脳の体積も小さくなるため、記録手技の獲得には時間を要しており、今後は実験群の記録を取りながら検討を行う。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、成長期ラットを実験動物とし、液状飼料飼育における大脳皮質一次体性感覚野、一次運動野の可塑性を解明することを主目的としているため、前年度までに確立した一次運動野におけるホムンクルスの記録手技を用い、低週齢での実験手技を確立すると共に、液状飼料飼育ラットの大脳皮質一次体性感覚野、一次運動野における機能局在についての実験を開始し、本年度の実験で得た成長期ラットの一次運動野における機能局在と比較する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に必要な機器については、既に購入されていた機器を使用したため、予定していた実験の必要経費に余剰が出たため。
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次年度使用額の使用計画 |
実験に必要な機器に関しては更新の必要があるため、前年度使用予定であった当該経費を使用する予定である。「消耗品」に関しては、ラットおよびタングステン電極等を次年度も継続して購入し、研究計画に沿って、実験を遂行する。「旅費」に関しては、次年度においては約3回の国内・国際学会に成果発表のために出席し、その機会を利用した討議を考えている。また、「謝金等」に関しては、データ採得後の統計処理に必要な資料提供費等を申請している。「その他」に関しては、データのプリントアウト、参考文献の印刷、外国語論文の校閲および研究結果の投稿料を計上している。
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