研究課題
われわれはラット臼歯の咬合刺激を低下後、矯正力を用いて移動する実験系において、咬合刺激の低下が歯根膜における退行性変化をもたらし、咬合刺激低下歯を矯正力を用いて移動した場合、正常咬合歯とは異なる移動様相を呈しCD31、VEGF-A およびVEGFR-2 の発現に影響を与えることを明らかとしてきた。さらにVEGFR-2 陽性細胞が、矯正力による違いや、組織障害、またその修復過程に与える影響について詳細な検討を行っている(研究スタート支援#25893073)。そこで、本研究ではVEGF/VEGFR に着目し、効率的な咬合刺激低下歯の移動システムを構築することとした。具体的には①分子生物学手法を用いたVEGF 依存性VEGFR-2 誘導に着目した歯根膜細胞の賦活化、②咬合刺激低下歯に対する効率的な矯正学的移動システムの構築、という2 点について細胞培養実験および疾患動物モデルを用いて研究計画を立案した。②について、12週齢のSD系雄性ラット15匹を、正常咬合(C)群、咬合刺激低下(H)群、咬合刺激低下およびLIPUS照射(HL)群の3群(各群5匹)に分け、咬合刺激低下による廃用性萎縮に対するLIPUS照射の効果をマイクロCTにより解析した。昨年度は、同モデルのラット上顎M1の遠心頬側根の歯根膜を採取し、VEGF、Runx2、Twist1、CTGFおよびペリオスチンについてmRNA発現レベルを定量評価した。結果としてM1歯根膜組織の定量PCR解析により、VEGFおよびRunx2の各mRNAの発現レベルは、HL群においてH群に比較し有意に高いことが明らかとなった。また、Twist1、CTGFおよびペリオスチンのmRNA発現レベルは、C群に対してH群で有意に低く、HL群では高いことが認められた。本年度は免疫組織学的解析を行うため非脱灰新鮮凍結切片を作製した。
すべて 2017
すべて 学会発表 (1件)