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2015 年度 実施状況報告書

MRIアーチファクトを相殺する歯科用反磁性被覆材の新規開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K20585
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

今井 治樹  東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (80735837)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードMRIアーチファクト / 反磁性 / 磁化率
研究実績の概要

本研究では、常磁性材料と反磁性材料を組み合わせること(複合化)でMRIアーチファクトの低減を図る概念に着目した。今年度はその基礎的な実験系として、以下の2項目について検証を行った。
①常磁性材料と反磁性材料を完全に一体化させた複合材料のアーチファクト低減効果
②同体積で形状の異なる試料(Ti)を用い、形状がアーチファクトに与える影響を検討
とくに①について、以下の結果を得た。
複合材料として外層にZr(常磁性)、内層にAg(反磁性)を配した二層構造の円柱状試料を準備し、芯材となるAgの割合を4,16,36,64,81%(充填時)と変化させた。それぞれの磁化率を複合則より算出した理論値と比較するとともに、MRI撮像を行い、三次元画像解析によりアーチファクト体積を算出した。その結果、Ag割合が増加するにつれ、磁化率・アーチファクト体積に減少が認められた。また磁化率は概ね理論値通りの低下を示し、アーチファクト体積との関係についても、われわれが行った先行研究(磁化率の異なる10種類の金属材料を用いて、磁化率とアーチファクト体積の関係を定量評価した)において得られたものとほぼ同等の関係式が導かれた。当初、複合材料の磁化率は異種材料の境界の存在等の影響により、予定通りの低下が得られないことも懸念された。しかし今回得られた結果より、二つの材料が緊密に一体化していれば、互いの磁性を相殺し磁化率およびアーチファクトの減少が理論通りの行われる可能性が示された。このことは複合化によるアーチファクト低減効果を裏付けるもので、本研究の主題である反磁性被覆材の開発を進める上でも非常に有意義であると思われた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まずは前述した基礎的な実験系により、複合化によるアーチファクト低減効果を実証することができた。この結果は反磁性被覆材の概念を裏打ちするものであり、今後スムーズに被覆材の研究へ移行することができると考えられる。
また被覆材の形状を検討するにあたり、アーチファクトと形状の関係を明らかにするための実験も同時に進行中である。

今後の研究の推進方策

歯科臨床を想定した反磁性被覆材モデルを作製してMRI撮像を行い、二次的な複合化においてもアーチファクトの低減効果が得られるか検証を行う。反磁性被覆材として、比較的強い反磁性を有するグラファイト粉末を歯科用アルジネート印象材に混合したものを試作しているが、それを用いて矯正用メタルブラケット(Co-Cr製、SUS製)を被覆する。両者の磁化率からブラケットのアーチファクトを相殺するために必要な被覆材の体積を算出し、ブラケット単独、被覆材単独、ブラケットを被覆材で覆ったもの、の三種類の試料を準備し、MRI撮像を行う。三次元画像解析により得られた結果をフィードバックし、材料や配合、形状に検討を加え、より強い反磁性の獲得と操作性の向上を目指す予定である。

次年度使用額が生じた理由

参加を検討していた国際学会への参加を見送ったこと、掲載料や別刷印刷費用など論文出版に関する経費を見込んでいたが、論文の受理に至っていないため

次年度使用額の使用計画

論文出版に関する経費としてや、学会参加費、物品費として使用予定

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 形状因子がMRIアーチファクトに与える影響に関する3次元的評価2015

    • 著者名/発表者名
      柴田育、今井治樹、簡野瑞誠、鉄村明美、塙隆夫、小野卓史
    • 学会等名
      第74回日本矯正歯科学会大会
    • 発表場所
      福岡国際会議場・マリンメッセ (福岡・博多)
    • 年月日
      2015-11-18 – 2015-11-20

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公開日: 2017-01-06  

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