研究課題
本研究では、これまでの研究成果を発展させ、アメロゲニンの特異的活性を有する機能性アメロゲニンペプチドと創傷治癒に効果的とされるPRPにおける歯周組織の代謝調節機構に及ぼす影響を解明し、これらを利用した歯根吸収予防法を確立することを究極の目標とした研究計画を立案した。初年度の研究から、機能性アメロゲニンペプチドの作用により、セメント芽細胞の増殖能および基質産生能の亢進が認められた。その結果は誌上に掲載された。また、PRPの作用により、歯周組織構成細胞の代謝調節に影響を及ぼすことが示唆された。また、機能性アメロゲニンペプチドはMAPK-ERK経路を介して、セメント芽細胞の増殖能を亢進させることが明らかとなった。その結果は誌上に掲載された。PRPの作用経路および歯根吸収のメカニズムについては、現在、論文投稿を検討中であるため、データを割愛する。最終年度では、ラット歯根吸収モデルを作成し、機能性アメロゲニンペプチドおよびPRPを歯根表面に投与し、歯根吸収の程度の評価を行った。機能性アメロゲニンペプチドおよびPRP単独投与では有意差が認められなかった。しかしながら、両者を併用することにより、有意差は認められないものの、歯根吸収が抑制される傾向が認められた。今後投与濃度等の検討を行い、検証を続けていく必要があると考えられる。研究期間全体の研究結果から、機能性アメロゲニンペプチドとPRPを併用することにより、セメント芽細胞の細胞活性に有効であることが示唆された。歯根吸収は過度なセメント質の吸収により引き起こされる病態であり、セメント芽細胞の細胞活性を向上させる機能性アメロゲニンペプチドを用いた新規の歯根吸収予防法の開発の可能性が示唆された。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件)
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