研究課題
本研究の目的は、矯正歯科治療の最大の欠点である長い治療期間を短縮するために、治療結果を正確に推定することが可能な、骨リモデリングを考慮した長期的な歯の移動予測システムを構築することであった。治療開始前に、どのような矯正治療メカニクスを用いれば、どういった結果となるかを正確に予測できれば、その目標に向かって最短で治療を終了することができる。つまり、このシステムが確立されれば、通常であれば2~3年以上にも及ぶ治療期間を大幅に短縮できる。これにより、患者の精神的・経済的負担が軽減され、治療中のエナメル質脱灰や、う蝕・歯周病に罹患・進行するリスクも著しく低減される。ひいては、矯正治療の需要拡大にもつながり、今後増加するであろう成人矯正治療のニーズにも幅広く対応でき、高齢化社会における口腔保健に大きく寄与すると考えられる。またこの過程で、歯の移動に最も影響を及ぼす骨リモデリング速度を定量化することとした。この目的のために、まず、マイクロCTを用いたラットの実験により得られる、力の大きさと歯の移動速度との相関関係から骨リモデリング速度の定量化を図ってきた。さらに、これを有限要素解析に組み込むことで、骨リモデリングを考慮した経時的な歯の移動シミュレーションを行う予定としていたが、ラットの歯は非常に小さく、有限要素モデルを構築する過程で非常に時間を必要とし、また、歯根膜上の任意の点における応力値と、その点の移動量から歯槽骨リモデリング速度を定量化するという作業においては、その任意の点が無数に存在することや、複数の歯において検証を重ねる必要があったため、骨リモデリング速度を定量化するという目標は達成できていない。しかしながら、以前は有限要素解析において、歯に力が加えられた瞬間における解析しか行えなかったものが、現在では抜歯した空隙を閉鎖するといった長期的な歯の移動予測を行えるまでとなった。
すべて 2018 2017 その他
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件) 備考 (3件)
Angle Orthod
巻: 87 ページ: 563-569
10.2319/110416-794.1
Am J Orthod Dentofacial Orthop
巻: 152 ページ: 601-612
https://doi.org/10.1016/j.ajodo.2017.03.021
http://research.jimu.nagasaki-u.ac.jp/IST?ISTActId=FINDJPDetail&ISTKidoKbn=&ISTErrorChkKbn=&ISTFormSetKbn=&ISTTokenChkKbn=&userId=100000440
http://ortho.dh.nagasaki-u.ac.jp/achievements/2015.html
http://www.de.nagasaki-u.ac.jp/education/achievement2016.pdf