研究課題/領域番号 |
15K20602
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
森田 幸子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (00631574)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 歯根吸収 / 歯の移動 / フラボノイド |
研究実績の概要 |
歯根吸収は、矯正治療中に生じる重篤な副作用である。本研究は、近年生体内における酸化ストレスを低減させることが多数報告されている植物代謝産物であるフラボノイドに着目し、マウスの歯の移動実験モデルを用いてフラボノイドの抗酸化作用による歯根吸収抑制効果を検証することを目的としている。フラボノイドは植物が合成する二次代謝産物で、近年、その構造の特性による抗酸化作用や抗炎症作用などの多彩な作用が注目されており、強化栄養補助食品なども多々開発されてきた。本研究では、フラボノイドの持つ抗酸化作用および骨代謝への影響に着目し、薬剤を用いない歯根吸収予防法の確立を最終目標とした、至適矯正力を考慮に入れた歯根吸収予防について検討している。これまで各種フラボノイドを、矯正力を加えた歯の移動モデルマウスに投与し、歯の移動への影響を検証してきた。矯正装置を装着したマウスを実験群とコントロール群に分け、歯の移動開始時に左側第一臼歯頬側粘膜下に、1)フラバン; 2)フラバノン; 3)フラボノ-ル; 4)アントシアニジン; 5)カルコン 計5種のフラボノイドを注射した。12日後に歯の移動量をμCT、歯根吸収の面積、深さ及び容積を走査型レーザー顕微鏡で測定した。これまで、対象としている各種フラボノイドで、対照群と比較して歯の移動量および歯根吸収量に有意差が認められておらず、至適量および至適矯正力との関連性との更なる検討が必要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、各種フラボノイドを矯正力を加えた歯の移動モデルマウスに投与し、歯根吸収及び歯の移動への影響を調べて、歯根吸収抑制効果のあるフラボノイドを同定することを目標としてきたが、対照群と比較して歯の移動量および歯根吸収量に有意な差が認められるフラボノイドを未だ確認できていないため進捗状況がやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、マウスの歯の移動モデルを用いて、これまで投与してきた各種フラボノイドについて、至適投与量,また至適矯正力との関連性を更に検証する必要がある。また同時に細胞培養実験を行い、歯の移動と歯根吸収に関与する破歯細胞・破骨細胞・骨芽細胞への各種フラボノイドの影響を検証する。
|