研究課題
矯正治療中に生じる重篤な副作用である歯根吸収には、いまだ適切な予防法がない。本研究は、生体内における酸化ストレスを低減させることが近年多数報告されている植物代謝産物であるフラボノイドに着目し、マウスの歯の移動実験モデルを用いてフラボノイドの抗酸化作用による歯根吸収抑制効果を検証することを目的としている。本研究では、フラボノイドの持つ抗酸化作用および骨代謝への影響に着目し薬剤を用いない歯根吸収予防法の確立を最終目標とした、至適矯正力を考慮に入れた歯根吸収予防について検討している。これまで、各種フラボノイドを矯正力に加えた歯の移動モデルマウスに投与し、マウスの歯の移動および歯根吸収への影響を検証をしてきた。矯正装置を装着したマウスを、実験群とコントロール群に分けて歯の移動開始時に左側第一大臼歯頬側皮下に、1)フラバン; 2)フラバノン; 3)フラバノール; 4)アントシアニジン; 5)カルコン 計5種のフラボノイドを投与した。装置装着12日後に歯の移動量をμCT、歯根吸収の面積、深さおよび容積を走査型レーザー顕微鏡で測定した。対象とした各種フラボノイドで、対照群と比較してマウスの歯の移動量および歯根吸収量に有意差を認めなかった。またフラボノイドの至適投与量を探るための各種フラボノイドの投与量を変化させた実験においても、対照群と投与群で歯の移動および歯根吸収抑制効果について有意な差を認めなかった。
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The Angle Orthodontist
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10.2319/112017-801.1