研究課題
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の簡便なスクリーニング検査法の確立のため、いびきの音響解析法を開発し、これを用いて「OSASの診断に有用な音響学的パラメータの特徴」および「気道狭窄部の違いによる音響学的パラメータの特徴」を明らかにする事を目的とした。まず、気道狭窄部を特定するため、口腔内装置(OA)を用いて治療を行ったOSAS患者に対し、治療前後に、PSG検査およびCT検査など資料採取を行い、OA治療前後のCTデータを基に、熱流体解析ソフトPHOENICSを用い、吸気時における気道の流体力学的変化を検討した。固定型OAおよび半固定型OAについて流体力学的解析をおこなった結果、固定型OAではRetro palatalと喉頭蓋先端レベルで気流速度および気道内圧(陰圧)を有意に改善させていた。一方半固定型OAでは、軟口蓋先端と喉頭蓋先端レベルでの気道内圧(陰圧)を有意に改善させていた。すなわち2種類のOAの作用機序が異なる事を明らかにした。またこの結果は、OAの効果には部位特異性があり、OAの作用部位とOSASの原因部位(気道の狭窄部位)とが一致していない場合は、OAの治療効果も弱いことが示唆された。まだまだサンプル数は必要だが、流体力学解析を用いた気道の狭窄部位の特定方法を開発していき、併せていびきの音響解析法を開発していく予定である。家庭で録音したいびきを解析する事によりOSASの診断が可能となれば、小児OSASの早期発見・早期治療につながり、将来的なOSAS発症の抑制にも貢献できるものと考える。
2: おおむね順調に進展している
まだまだサンプル数は必要だが、おおむね順調に資料採取できており、解析も行えている。
記録したいびき音のデータから線形予測符号化法を用い、ホルマント周波数など様々なパラメータを抽出する。それらのパラメータを多変量解析および摂動解析を用い、OSASに随伴するいびき音の特徴を明らかにしていく。
データの収集が予定よりも少なかったため、解析業務も予定より少なくなった。その結果次年度使用額が生じた。
今年度は前年度できなかった解析業務を行い、あわせて論文投稿を行うことでその額を使用する予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
Angle Orthod.
巻: 87(3) ページ: 397-403
10.2319/080616-603.1.