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2015 年度 実施状況報告書

歯科健診における初期脱灰病変に対するガイドラインの確立

研究課題

研究課題/領域番号 15K20607
研究機関明海大学

研究代表者

渡辺 幸嗣  明海大学, 歯学部, 講師 (30570650)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード齲蝕感受性の評価
研究実績の概要

本研究は、エナメル質の初期脱灰病変のミネラル密度を客観的に評価することが可能なQuantitative Light-induced Fluorescence-Digital(以下QLF-D)を応用して、evidenceに基づく初期脱灰病変の診査および管理のガイドラインを作成することを目的としている。平成27年度に、QLF-Dにより検知された初期脱灰病変の進行度がエックス線写真により確認される病変の進行度と相関性が高いかどうかを確認する計画であった。現在、本学外来においてデータを収集中である。
QLF-Dは一眼レフカメラを基に開発された機器であり、使用時の環境や条件により評価結果が左右されるため、その運用には熟練を要する。QLF-Dを適切に使用するための知識を習得するため、平成28年1月に盛岡市で開催された国際QLF研究会に出席して研修を積んだ。
また、平成28年度に行う予定であった、個々の患児の齲蝕のリスクファクターと、再石灰化療法や治療の術後成績に関するデータの蓄積を行う一環として、小児の養育環境と齲蝕罹患状況について、第53回日本小児歯科学会大会、第62回日本小児保健協会学術集会、第8回日本健康医療学会で学会発表し、虐待防止・歯科研究会で講演を行い、酸性の環境下においてヒトの乳歯エナメル質から溶出するアルミニウムの量と患児の齲蝕歯数との関連性について検索し、Acid Elution of Aluminum and Calcium from Human Deciduous Enamel in Relation to Dental Caries. Open Journal of Stomatology 2016; 6: 54-63として論文が掲載された。この報告は個人の齲蝕感受性を評価し、適切な初期脱灰病変部の管理・治療を行ううえで大変有用な報告である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初期脱灰病変を管理・治療するために有用な、患児の齲蝕感受性を評価する指標(酸性環境下でヒトの乳歯のエナメル質から溶出するアルミニウムの量と各個体の齲蝕感受性との間の関連性)や再石灰化能を有する歯科材料(S-PRGフィラーを含有する歯面コーティング剤や最新のグラスアイオノマーセメントの初期脱灰病変に対する影響の評価)については順調に検索が進んでいる。しかしながら、QLF-Dにより検知された初期脱灰病変の進行度がエックス線写真により確認される病変の進行度と相関性が高いかどうかを確認する行程が症例の不足のためやや遅れている。

今後の研究の推進方策

QLF-Dにより検知された初期脱灰病変の進行度がエックス線写真により確認される病変の進行度と相関性が高いかどうかを確認する行程をより迅速に進めるため、診療にあたっている同僚の歯科医師に協力を求め、データの収集に努めることとする。また、QLF-Dを適切に応用するためには術野が暗い状態で画像を取得することが必要であり、診療室で効率的に画像を取得できる環境を整備する。同時に、患児の養育環境と各個体の齲蝕感受性との間の関連性についても引き続き検索を継続することとする。これらの研究の結果、QLF-Dを応用して得られた客観的な初期脱灰病変の評価と患児の齲蝕感受性および養育環境による齲蝕リスクを総合的に評価して初期脱灰病変をどう管理・治療していくべきかのガイドラインを作成することを目標とする。

次年度使用額が生じた理由

QLF-Dにより検知された初期脱灰病変の進行度がエックス線写真により確認される病変の進行度と相関性が高いかどうかを確認する行程が症例の不足のためやや遅れているため、その検証に用いる統計ソフトを未だ購入していないことが、次年度使用額が生じた理由である。また、研究に必要な消耗品の補充が想定よりも少なかったことも次年度使用額が生じた理由として考えられる。

次年度使用額の使用計画

症例を多く集めることに全力を尽くし、QLF-Dにより検知された初期脱灰病変の進行度がエックス線写真により確認される病変の進行度と相関性が高いかどうかを確認するための統計ソフトウェア―を購入する計画である。また、消耗品の補充や、QLF-Dを適正に応用することが可能となる環境を診療室に設けることが課題となっており、その実現に向けても費用が必要であることが予想される。同時に、当初の予定通り、初期脱灰病変を管理・治療するという観点から、患児の養育環境と齲蝕罹患の関連性についても検索を続け、初期脱灰病変に対するガイドラインの作成に役立てることとし、そのための費用も必要となることが予想される。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Acid Elution of Aluminum and Calcium from Human Deciduous Enamel in Relation to Dental Caries2016

    • 著者名/発表者名
      Koji Watanabe, Toshiko Tanaka, Ayaka Enomoto, Katsura Saeki, Shigenori Kawagishi, Hideaki Nakashima, Kenshi Maki, Shigeru Watanabe
    • 雑誌名

      Open Journal of Stomatology

      巻: 6 ページ: 54-63

    • DOI

      10.4236/ojst.2016.62007

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Quantitative Light-induced Fluorescence-Digitalによる歯垢検知法2015

    • 著者名/発表者名
      渡辺幸嗣、鈴木亮、中村昭博、池田英史、江田康輔、吉原幸司郎、渡部茂
    • 学会等名
      第8回日本健康医療学会
    • 発表場所
      開運クラブ(東京都千代田区)
    • 年月日
      2015-10-25 – 2015-10-25
  • [学会発表] 小児の養育環境と口腔内環境について2015

    • 著者名/発表者名
      渡辺幸嗣、巣瀬賢一、渡部茂
    • 学会等名
      第62回日本小児保健協会学術集会
    • 発表場所
      長崎ブリックホール他(長崎県長崎市)
    • 年月日
      2015-06-18 – 2015-06-20
  • [学会発表] 小児の養育環境と齲蝕罹患状況2015

    • 著者名/発表者名
      渡辺幸嗣
    • 学会等名
      虐待防止・歯科研究会
    • 発表場所
      日本大学歯学部(東京都千代田区)
    • 年月日
      2015-06-07 – 2015-06-07
    • 招待講演
  • [学会発表] 小児における養育環境と齲蝕罹患との関連性について2015

    • 著者名/発表者名
      渡辺幸嗣、中村昭博、尾䑓令奈、巣瀬賢一、小野義晃、諸星孝夫、渡部茂
    • 学会等名
      第53回日本小児歯科学会大会
    • 発表場所
      広島国際会議場(広島県広島市)
    • 年月日
      2015-05-21 – 2015-05-22

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公開日: 2017-01-06  

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