乳歯歯髄由来細胞は、すでに神経細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、脂肪細胞への分化が確認されている。そこで、低酸素培養された乳歯歯髄由来細胞においても他の細胞への分化能を有しているか明らかにするために、最終年度では低酸素状態で培養されたヒト乳歯歯髄由来細胞において、脂肪細胞への分化能を有しているかを検討を行った。ヒト乳歯歯髄由来細胞を24well Plateへ播種し20%酸素下および2%酸素下で培養しコンフレント時に、分化誘導培地(R&D)を用いて脂肪細胞への分化誘導を行った。プロトコールに従い培地は3日毎に交換し7日間分化させた。分化誘導後に蛍光免疫染色を行い、蛍光顕微鏡にて観察した。染色では脂肪細胞に対してFABP-4抗体、核の染色にはDAPI抗体を用いた。さらに脂肪細胞分化の確認を行うためにOil red O 染色を行い、染色された脂肪細胞より染料を抽出し定量分析を行った。その結果、2%酸素下で培養を行った乳歯歯髄由来細胞において20%酸素下で培養した細胞と比較した結果、脂肪細胞への分化を増強した事が確認できた。 また、骨芽細胞分化も同様に、骨芽細胞分化誘導21日後、蛍光免疫染色、およびアルカリフォスファターゼ染色を行い低酸素培養および通常培養下での分化能を確認した。蛍光免疫染色では骨芽細胞に対してオステオカルシン抗体を使用した。現在さらにウェスタンブロッティングにてさらなる検討を行っている。
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