研究課題/領域番号 |
15K20625
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
小原 成将 九州歯科大学, 歯学部, 医員 (70735878)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯周病 / 肥満 / apelin |
研究実績の概要 |
肥満は高血圧・脂質異常症・糖尿病など様々な疾患の誘因となるが、その過程で脂肪組織が産生する生理活性物質(アディポカイン)の関与が指摘されてる。歯周病においても肥満はリスクファクターである。しかし、歯周病とアディポカインの関与については不明な点が多い。本研究は新規のアディポカインであるapelinに着目し、肥満、歯周病の病態におけるその役割を解明することを目的としている。 現在は健常者、歯周病患者、肥満者、肥満である歯周病患者それぞれの、血清中、歯肉溝浸出液(GCF)中のapelinをはじめとしたアディポカインの濃度を測定している。今後は、歯周病細菌由来LPS(Lypopolysaccharide)が誘発する炎症に対するapelinの抗炎症作用について検証を進めていく。 2015年度は被験者を健常者、肥満者、歯周病患者、肥満である歯周病患者に分類し、血清、GCF中のIL-1、IL-6、TNF-α、apelin、resistin、adiponectinの濃度を測定した。被験者数が予定数に達していないが、現在までに以下の傾向が観察された。血清中apelin、TNF-α、IL-6は肥満、歯周病患者において健常者よりも高い値を示した。resistinは肥満において高い値を示したが、健常者、歯周病患者の間に差はみられなかった。adiponectinは肥満、歯周病患者において健常者よりも低い値を示した。GCF中のapelinは歯周病患者において健常者よりも高い値を示した。IL-1、resisitin濃度は歯周病患者、肥満者において健常者よりも高い値を示した。adiponectinは歯周病患者、肥満者において健常者よりも低い値を示した。 歯周病患者の血清中、GCF中apelin濃度は健常者よりも高く、歯周病とapelinとの関連が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
被験者は九州歯科大学歯周病科を受診した患者を対象としているが、BMI30以上の条件を満たす肥満者や、採択基準を満たす歯周病患者が少なく被験者およびそのサンプル数は必要数に達していない。しかし、現在まで採取したサンプルよりapelinを始め、他のアディポカインについて被験者群間ごとの傾向は観察されておりおおむね順調に進展していると判断した。次年度もサンプルの採取を継続しサンプル数を増やしていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに採取したサンプルを解析し、一定の傾向が確認されている。しかし、被験者数が十分でないため次年度以降もサンプル採取を行い解析を継続していく。また、歯周病細菌由来のLPSが誘導する炎症反応に対するapelinの機能を解析するため、porphyromonas.gingivalis由来のLPSにてJ774.1細胞を刺激し、上昇するサイトカイン(IL-1、IL-6)に対するapelinの抑制効果をreal time RT-PCRにて検討する。さらにその細胞内シグナルについてwestern blottingにて検討を進めていく。また、J774.1細胞におけるapelinの機能解析が順調に進んだ場合、歯肉上皮細胞についても同様の解析を行っていく予定である。
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