研究実績の概要 |
ヒト抜去歯から歯根膜組織を採取し、酵素法によりPDLを分離後、継代により十分な細胞数を確保した。スフェロイド作製用マイクロウェルチップにPDLを播種し、PDLスフェロイドを作製した。real time RT-PCRを用いて、多能性マーカー(OCT4, NANOG)の遺伝子発現を確認した。単層培養PDLと比べて、PDLスフェロイドでOCT4, NANOGの遺伝子発現は有意に高くなり、PDLスフェロイドは幹細胞の多能性を維持することが示唆された。FACSを用いて、間葉系幹細胞マーカー(CD29, CD44, CD73, CD90, CD105)と造血系細胞マーカー(CD34, CD45)の表面抗原発現を確認した。PDLスフェロイドにおいて、単層培養PDLと同様に間葉系幹細胞マーカーの発現が見られ、ネガティブコントロールである造血系細胞マーカーの発現は見られなかった。軟骨分化条件(dexamethasone, ascorbate, ITS+, sodium pyruvate, prolineを含む培地で培養)で21日間ペレット培養後、切片を作製し、アルシアンブルー染色を行った。PDLスフェロイドは単層培養PDLと同様にアルシアンブルーで染色されたことから、軟骨に分化することが示唆された。PDLスフェロイドと単層培養PDLを骨分化条件(dexamethasone, ascorbate, β-glycerophosphateを含む培地で培養)で14日まで培養し、アリザリンレッド染色、real time RT-PCRによる骨関連遺伝子(RUNX2, COL1, ALP, OPN, BSP, OCN)の発現、ALP活性を比較した。アリザリンレッド染色で検出したPDLスフェロイドにおける石灰化結節量は有意に増加した。培養7, 10, 14日目のreal time RT-PCRにおいて、RUNX2, COL1, ALPは7, 10日目でPDLスフェロイドが有意に高い発現を示し、OPN, BSP, OCNは10, 14日目でPDLスフェロイドが有意に高い発現を示した。培養0, 7, 10, 14日目のALP活性において、PDLスフェロイドは7,10,14日目で有意に高い活性を示した。
|