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2015 年度 実施状況報告書

歯肉付着上皮のアポトーシスおよび上皮間葉移行(EMT)におけるアメロチンの役割

研究課題

研究課題/領域番号 15K20630
研究機関日本大学

研究代表者

中山 洋平  日本大学, 松戸歯学部, 講師 (30434088)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード付着上皮 / アメロチン / アポトーシス
研究実績の概要

アメロチンはエナメル質形成期成熟期のエナメル芽細胞から分泌され,歯牙放出後の歯肉付着上皮に局在するエナメルタンパク質である。歯周組織の発生学的知見および歯周組織の恒常性維持の解明において注目されるタンパク質であり,アポトーシスおよびEMTにおけるアメロチン遺伝子レベルの変化を検索することで,付着上皮の恒常性に関わると思われる転写因子の同定を研究の目的としている。
我々は,ヒト炎症歯肉組織におけるAMTN遺伝子レベルは,正常歯肉組織よりも増加し,ヒト歯肉線維芽細胞における炎症性サイトカインによるAMTN遺伝子レベルの増加を示した。
トランスフォーミング増殖因子1(TGF beta1)によりマウス歯肉上皮細胞(GE1細胞)にアポトーシスを誘導することを示すことができ,その条件下でアポトーシスにおけるAMTN,ODAM,FDC-SPといった付着上皮に発現する遺伝子の変化を調べた。その結果,AMTN遺伝子はアポトーシス初期から経時的に増加することが分かった。TGF beta1に誘導されるSmad3の関与に焦点をしぼり,Smad3過剰発現下においてもAMTN遺伝子発現が増加することが示すことができた。また,クロマチン免疫沈降法によって,AMTN遺伝子プロモーター中の応答配列の範囲をある程度同定した。
これらの結果から,AMTN遺伝子発現はSmad3を介したTGF beta1により誘導されることが分かった。しかし,直接的なAMTNとアポトーシスとの関係はまだ検索中である。また,EMT時のAMTN遺伝子発現の変化の検索も条件決めの段階である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り,AMTNとアポトーシスの関係を調べるにあたりTGF beta1刺激によるアポトーシスの誘導をGE1細胞を使用して行うにあたり,刺激時間,濃度等の条件決めは明確であると考えている。その変化の中で,AMTNを含む歯肉付着上皮に発現する遺伝子の発現の変化を調べることができている。
AMTN遺伝子プロモーターへの結合が増加する転写因子については,まず主要な転写因子であるSmad3に焦点を絞り込み解析することで,TGF beta1に関連する応答配列を想定できている。転写因子間の相互作用はゲルシフトアッセイや免疫沈降法を行う必要がある。
EMT関連遺伝子による過剰発現でGE1細胞におけるEMTを誘導を試みているが,再現性の高い結果が得られていないため,TGF beta1刺激の濃度や時間あるいはEMT関連遺伝子による過剰発現の細胞への導入条件などを決めている段階である。
上記に示したアポトーシス関連の結果は,論文作成し,論文投稿中である。また,日本歯科保存学会で発表予定である。

今後の研究の推進方策

直接的なアメロチンとアポトーシスおよびEMTとの関係が明らかに示すのが困難である。つまり,EMTにおける歯肉付着上皮の働きやその恒常性の調節機構の解析に役立てることができると考えているが,GE1細胞におけるEMT誘導の条件決めに時間を割いている段階である。GE1細胞が不死化細胞であるため,このようなアポトーシスやEMTといった現象に適した条件を示す,明確な結果が必要であると考えている。
また,Smad3過剰発現だけではなく,ノックダウンした細胞あるいはノックアウトマウスのサンプルを用いた免疫染色法なども考える必要がある。

次年度使用額が生じた理由

細胞培養に使用する培地の購入するにあたり,実験結果のデータ解析を行いながら研究を進めてきた。研究データにさらに必要な実験をを見通しながら,培養に使用する消耗品を購入していたため差額が生じた。

次年度使用額の使用計画

生じた差額は引き続き行っている細胞培養の消耗品に使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Enamel Hypomineralization and Structural Defects in Amelotin-deficient Mice2015

    • 著者名/発表者名
      Nakayama Y, Holcroft J, Ganss B.
    • 雑誌名

      J Dent Res.

      巻: 94 ページ: 697-705

    • DOI

      10.1177/0022034514566214.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 歯肉上皮細胞におけるTGFβ1によるアメロチン遺伝子発現の調節2016

    • 著者名/発表者名
      中山洋平,松井沙莉,能田佳祐,山崎瑞穂,岩井泰伸,松村浩禎,小方頼昌
    • 学会等名
      第144回春季日本歯科保存学会学術大会
    • 発表場所
      「栃木県総合文化センター(栃木県宇都宮市)」
    • 年月日
      2016-06-09 – 2016-06-10

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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