研究課題/領域番号 |
15K20631
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
高井 英樹 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (30453898)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 転写因子 |
研究実績の概要 |
歯周組織は,歯肉,歯根膜,セメント質および歯槽骨から構成され、歯根膜に存在する幹細胞は骨芽細胞,軟骨細胞,筋芽細胞および脂肪細胞に分化する。また、特異的な転写因子(TFs)は、異なる性質の細胞に幹細胞を分化させるために必要である。そのため,TFsの発現をコントロールする事で,ターゲット細胞を異なる性質の細胞に分化誘導できる可能性が考えられる。今回我々は,歯周組織構成細胞で発現するTFsについて解析を目的とした。ヒト歯肉線維芽細胞(HGF)とヒト歯根膜細胞(HPDL)は,10%ウシ胎児血清を含むD-MEMで,ヒト骨芽細胞様細胞(Saos2細胞)は,α-MEM培地で培養した。HPDLに、歯周組織構成細胞で発現するターゲットTFsに対するsiRNAを導入し,72時間後に細胞を回収し,間葉細胞関連転写因子の発現を検索するために,ウェスタンブロットおよび定量リアルタイムPCRを行った。Runx2,Runx3およびSox5(骨および軟骨形成TFs)mRNAはHGFおよびHPDLに比べてSaos2骨芽細胞様細胞で多く発現していた。しかしながら,Twist2,KLF12およびPax9 mRNAは,Saos2骨芽細胞様細胞に比べてHGFおよびHPDLで多く発現していた。HPDLで3種類(Twist2,KLF12,Pax9)のTFsを抑制すると,Sox5 mRNAおよびタンパク質発現が増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト歯根膜細胞(HPDL)で3種類(Twist2,KLF12,Pax9)のTFsを抑制すると,Sox5 mRNAおよびタンパク質発現が増加することが示唆された。しかしながら、Twist2,KLF12およびPax9を単独で抑制した時にHPDLでどのような転写因子が発現するのかはまだ解明されていない。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト歯根膜細胞(HPDL)へsiRNAを導入し、Twist2,KLF12およびPax9を単独で抑制した時の転写因子の発現の変化を検索していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
細胞培養に用いているフラスコやディシュが予算よりも安価に購入できたため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算と合わせて抑制実験に用いるsiRNAなどの物品を購入するために使用する予定である。
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