研究課題/領域番号 |
15K20633
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
澤田 俊輔 関西医科大学, 医学部, 助教 (60711075)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | CX3CR1 / CX3CL1 / Fractalkine / Gingival Fibroblasts / Periodontitis / FKN |
研究実績の概要 |
慢性歯周炎は炎症性骨吸収を特徴とし、歯の脱落により患者のquality of lifeは著しく低下する。しかし、未だ歯周炎の完全なコントロールには至っていない。そのため、本病態の解明と新しい病態制御の確立が急務となっている。近年、破骨細胞に発現しているCX3CR1のシグナルは、骨吸収に重要な役割を果たしていると報告されているが、歯科領域における作用はほとんど分かっていない。そこで、CX3CR1シグナルが歯槽骨吸収にも重要な作用を有することが推察される。本研究は、歯槽骨吸収におけるCX3CR1の作用機序を解明し、CX3CR1の制御による慢性歯周炎に対する新しい治療戦略の開発を目的としている。平成27年度は交付申請書に記載したとおり、歯周組織でCX3CR1が発現していることを確認し、培養細胞を用いたin vitro実験を中心に検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は歯周組織でCX3CR1が発現していることを確認し、in vitroでの検討を進めてきた。興味深いことにヒト由来歯肉線維芽細胞株を各種炎症性サイトカインおよびLPSで刺激を行うと培養上清中へCX3CL1(CX3CR1のリガンド)の産生性が亢進される結果を得た。とりわけ歯周炎の病態では炎症性サイトカインの働きが歯槽骨吸収へ関与していることが知られているので、炎症性サイトカインがCX3CR1シグナルを介して歯槽骨吸収を促進している可能性が推察される。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度はin vitroでの検討を行った。平成28年度はin vitroに加え、予定通りin vivoの実験も進めていく予定である。今後、CX3CR1シグナルにおける各種サイトカインの詳細な働きやシグナル伝達経路を検証することに加えて、動物実験や臨床サンプル数を増やした検討を行うことによって歯槽骨吸収におけるCX3CR1の作用機序を解明していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度に動物実験を同時に開始する予定であったが、研究の進捗状況により初年度はin vitro中心の実験計画となった。分子生物学的実験については、研究室の試薬等を使用することができたため推定使用額と比較し、実支出額は下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度以降は初年度に行わなかった動物実験や、新たな細胞株での実験を開始するため次年度使用額は計画的に無駄なく使用できる。
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