口臭の主な原因物質は揮発性硫黄化合物(Volatile Sulfur Compounds:VSC)であり、大半は舌苔から産生されるとされている。 口臭測定は、起床時条件にて口臭測定、細菌数測定を行った。メタゲノム解析では、対象者の舌背中央部より、舌苔を採取した。対象者は、口臭測定の結果により、口臭あり群となし群の2群にわけた。口臭測定は、起床時条件にて口臭官能検査、ガスクロマトグラフィーおよびガスセンサー口臭測定器を用いて行った。 舌苔中の平均細菌数の比較では、口臭あり群がなし群に比べ、有意に多かった。舌苔の付着範囲別の細菌数の比較では、舌苔の範囲「1/3以下」は、「1/3-2/3」および「2/3以上」のにくらべ、有意に細菌数が少なかった。また、舌苔の厚み別の細菌数の比較では、「薄い」と比較して、「中等度」および「厚い」は、いずれも有意に細菌数が多かった。口臭あり群の舌清掃前後の比較では、舌清掃前に比べて、舌清掃後は有意に減少した。メタ16S rRNA解析の結果、舌苔中の細菌属の組成を明らかにした。舌苔中の細菌門レベルでの構成では、全ての対象者に、Actinobacteria、Bacteroidetes、Firmicutes、Fusobacteria、Proteobacteriaが検出された。さらに、口臭あり群となし群の細菌叢の多様性の比較では舌苔中の細菌の多様性の分析では、Chao-1 indexおよびShannon indexにおいて、口臭あり群の方が口臭なし群に比較して、有意に高い値を示した。
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