研究実績の概要 |
本年度は、平成24年に実施した久山町生活予防健診で得られた唾液検体から既に抽出済みの微生物群集DNAを用いて、各検体のE6とE7を含む遺伝子領域をPCR法にて増幅を行った。その際、悪性型(HPV 16, 18, 31, 35, 52bおよび58型)と良性型(HPV 6および11型)の両者をターゲットとし、HPVpU-1M, HPVpU-31B, HPVpU-2Rの3種のコンセンサスプライマーを用いた。まずはじめに、悪性型のHPV 18と良性型のHPV 11のゲノムDNAが挿入されたプラスミドDNAを鋳型として、先行研究で推奨される反応条件の下でPCR法を実施した。各型のHPVが正確に増幅可能となるように、試薬とアニーリング温度、サイクル数などを調整した。その後、前述の久山町健診の唾液検体からランダムに抽出した100検体を用いてPCR法を実施したところ、1検体から悪性型HPVの増幅が確認された。この増幅産物の塩基配列をBig Dyeターミネーターを用いたサンガー法にて決定したところ、悪性型のHPV 18であることを確認した。これまでの唾液を検体とした悪性型HPV感染の有病率報告は、男女での違いもあるが約5%から15%程度とされており、今回の有病率はわずかに低い傾向であった。
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