研究実績の概要 |
エピジェネティクスは,環境因子により遺伝子の表現系が後天的に変化する現象である.これまで主として発がんへの関与について検索されてきたが,最近になり,糖尿病,肺炎,心疾患,高血圧などの生活習慣病にも関与することが指摘されてきている.しかし,歯周疾患に影響を受ける基礎疾患の発症・進展にエピジェネティクス修飾が関与しているかについての報告はほとんどみられない.本研究では,歯周病原細菌によって膵臓が受けるエピジェネティクス修飾について網羅的探索を行い,その影響を明らかにすることを目的とした. 昨年度までの網羅的解析の結果から,本年度は,メチル化を起こす可能性がある遺伝子の解析を行った.糖尿病関連遺伝子CDKN2A, CDKN2B, IGF2BP2, CAPN10, SLC30A8, JAZF1, HHEX, KCNJ11, KCNQ1, MTNR1B, NOTCH2, ENPP1, PPARG, CDKAL1, ADAMTS9, HNF1B, TCF7L2, WFS1, およびFTOからプロモーター領域にCpGアイランドが存在するものを検索した結果,CDKN2A, CDKN2B, IGF2BP2, CAPN10, HHEX, KCNQ1, NOTCH2, ENPP1, PPARG, TCF7L2, WFS1, FTOがあった.これらの遺伝子のプロモーター領域にMSP用プライマーを設計し,バイサルファイト処理を行ったマウス膵臓DNAを定量PCRでメチル化のレベルを測定した.測定したメチル化プライマーおよび非メチル化プライマーのCq値からメチル化の割合(%)を算出した結果,これらの遺伝子のメチル化の割合に統計学的な有意差は認められなかった.
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