研究課題
本研究の目的は、摂食嚥下機能と骨格筋量の関連性を解明することで、超低出生体重児の食行動の問題の解決方法を立案することである。そのためには、まず定型発達児における摂食嚥下機能と骨格筋量の関連性を解明することが必要である。保育園に通う健康幼児(3歳から就学前)を対象とし、調査項目は、性別、年齢、身長、体重、咬合力(デンタルプレスケール)、舌圧(JMS舌圧測定器)、舌筋厚(ソノサイト180Ⅱ)、握力(JAMERデジタル握力計)、咬筋厚(みるキューブ)、下腿後面筋厚(みるキューブ)、下腿周囲長、体組成(InbodyS10)とした。摂食嚥下機能の一つである舌圧は、年齢、身長、体重、下腿後面筋厚、下腿周囲長、骨格筋量と有意に相関した。咬合力、舌筋厚とは相関しなかった。咬合力は年齢、身長、体重、下腿後面筋厚、下腿周囲長、骨格筋量と有意に相関した。年齢因子を除外しても、舌圧は握力と有意に相関した。食事や発音の心配事が多い児では舌圧が低い傾向にあった。舌圧は摂食嚥下機能に重要な役割を果たしている。食事の心配事と舌圧が関連したことから、食行動に問題がある児において、食行動の評価に舌圧測定を行うことは有用であるかもしれない。舌圧は握力と相関したことから、全身の筋力の影響を強く受けることが示唆された。定型発達児において食行動も問題解決には、摂食嚥下機能だけでなく、全身の筋力や筋肉量を考慮することが重要である。
4: 遅れている
超低出生体重児ボランティアの確保に難渋しているため、計画はやや遅れている。また、超低出生体重児ボランティアでは、定型発達児に比較して、測定の協力が難しく、特に低年齢では測定事態の困難さが生じている。
超低出生体重児ボランティアで測定を行う場合には、測定前の練習を行うことや、測定項目を絞り、回数を増やすことで、測定ができるように努めたい。また、超低出生体重児ボランティアの人数の確保が難しい場合には、極低出生体重児や2000~2500g未満の低出生体重児ボランティアも対象とする予定である。出生体重との傾向が分かることで、超低出生体重児の傾向が考察できると考える。
超低出生体重児ボランティアの確保に難渋したため、データ採取に必要な物品費の額が申請時より少額になった。また、外国での発表をしなかったため、旅費は申請時より少額になった。
低出生体重児ボランティアの測定に必要な機材を購入予定である。健康小児ボランティアでは申請機器の一部をデモ機で対応できたが、デモ機は常に使用できるとは限らないため、必要に応じ機材を購入する予定である。
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Journal of Physical Therapy Science
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Pediatric Dental Journal