研究課題/領域番号 |
15K20654
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研究機関 | 神奈川歯科大学 |
研究代表者 |
渕田 慎也 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (90732834)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 歯周疾患検診 / 歯周病検診 / 地域格差 / 市区町村 / 健康増進事業 / 歯科保健事業 / 事業評価ベンチマーク |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,口腔の健康格差を縮小させるため,健康増進法に基づく歯周疾患検診(歯周病検診)の全国1,741市区町村の実施状況を把握し,実施率や受診者率や「異常なし」と判定される者の割合の地域格差に影響する背景要因を地域保健サービスや社会経済的指標から明らかにすることである。そして,市区町村の実施率や受診者率の向上に向けた事業評価ベンチマークを開発し,歯周疾患の地域格差縮小に向けた指針としたいと考えている。 平成27年度は,歯周疾患検診の実施状況を把握するため,歯周疾患検診受診者率(捕捉率)の算出と,全国市区町村への歯周疾患検診の実態調査を実施した。 具体的に,平成27年3月に公表された平成25年度「地域保健・健康増進事業報告」より得られた歯周疾患検診受診者数と,同時期の総務省自治行政局「住民基本台帳年齢別人口」より推定された対象年齢人口から,全国と自治体ごとの推定受診者率を算出した。結果として,平成25年度の全国推定受診者率は3.9%であった。 実態調査については,全国1,741市区町村に対して,平成25年度時点の歯周疾患検診の実施状況(実施の有無,対象年齢,要員・施設の状況,目標値の設定状況等)や効果的な歯科保健事業の有無等を質問紙によって実施した。これまでに1,142自治体から回答が得られ(回収率:65.6%),有効回答の約70%が実施自治体であった。実施自治体の多くは,個別に指定歯科医療機関を受診する委託形式をとっており,目標となる受診者率等は設定していなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は,主に歯周疾患検診受診者率(捕捉率)の算出と全国市区町村への歯周疾患検診の実態調査を計画していたが,「研究実施計画」通りに進捗している。 推定受診者率は全国・都道府県・市区町村それぞれに算出でき,実態調査は目標に近い回収率(65.6%)を得ることができた。データ入力・クリーニングも完了しており,平成28年度の要因分析に向けた準備は順調に進展していると考える。 ただし,平成27年度は成果発表に至らず,今後の課題となった。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの結果をまとめて,第57回日本歯科医療管理学会総会・学術大会(文京区)において発表予定である。 平成28年度は,「研究実施計画」通りに,平成27年度の算出結果と調査結果を用いて,歯周疾患検診の実施・未実施と受診者率(捕捉率)に関わる要因分析や,検診結果において「異常なし」と判定される者の割合に関わる要因分析を実施する。 具体的に,【1.平成25年度の歯周疾患検診を実施している自治体と未実施の自治体の差異に関わる要因】,【2.平成25年度の歯周疾患検診の受診者率や経年的な受診者(平成22年度との比較)増加率が高い自治体と低い自治体の差異に関わる要因】,【3.平成25年度の歯周疾患検診の結果において「異常なし」と判定された者の割合が高い自治体と低い自治体の差異に関わる要因】について,質問紙調査から得られた対象年齢,要員・施設の状況,目標値の設定状況等に加えて,社会経済的指標として,市区町村の人口規模(人口密度や都市化の程度),財政状況,人口当たりの歯科医師数,そしてソーシャルキャピタル指標等を用いて分析する。 さらに,分析結果を踏まえて市区町村の事業評価ベンチマークを作成する。具体的に,都道府県レベルの地域保健サービスや社会経済的要因を調整後も,歯周疾患検診の実施状況との関連が残る市区町村レベルの地域保健サービスや社会経済的要因を指標とし,ストラクチャー(構造)評価とプロセス(過程)評価, そしてアウトカム評価それぞれに応じたベンチマークとする。作成した事業評価ベンチマークは,信頼性と妥当性の検証を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は成果発表に至らず,若干の次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は複数の成果発表を予定しており,併せて使用する。
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