本研究課題の目的は、青年期の口腔保健行動に対する評価指標の開発と予測モデルの検討し、予測モデルに基づく青年期の歯科保健プログラムの開発と効果の検証をすることである。予測モデルとしては、口腔保健行動の予測に定評のある行動理論のHealth Action Process Approach(HAPA)モデルに基づきモデルの作成を行っている。 平成29年度は本研究課題の3年目にあたり、平成28年度までに青年期の口腔保健行動の予測モデルとしてHAPAを用いることが可能であることが示され、HAPAに基づく口腔保健行動の促進を目的とした介入を行い、その効果を検証した。調査対象者は、大学生55名であり、プレテスト、ポストテスト、フォローアップすべての調査に協力した大学生52名(介入群26名、統制群26名)を分析対象とした。介入内容は、口腔保健行動(デンタルフロス)のセルフモニタリング、両群に対して3日に1回の間隔で計7回のメールマガジンを配信した。両群に共通のメールマガジンの内容は、口腔の健康に関する知識であり、介入群に対しては、HAPAのモデル検証の結果から行動意図に働きかける要因である口腔保健行動に対するネガティブ結果予期と自己効力感に関する内容を配信した。 本研究の主な知見は、ネガティブ結果予期と自己効力感の各変数は調査時において変容することがほとんど見受けられなかった。しかしながら、口腔保健行動がフォローアップ時において統制群よりも介入群の方が高くなり、また、両群においてプレテストからフォローアップ、ポストテストからフォローアップにかけて口腔保健行動が高まることが示された。これらのことから、HAPAの構成要素に従ったメールマガジンの配信による介入効果が少なからずあったと考えられる。
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