研究課題/領域番号 |
15K20660
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
田中 聡美 山形大学, 医学部, 助教 (70584316)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 看護師 / 転職 |
研究実績の概要 |
転職入職者が新規採用入職者を上回る状況において、転職者の医療機関への定着に向けた介入方法を検討するためには、日本の転職の特徴を捉えた介入策を検討することが重要である。そこで平成27年度は、海外文献からみた転職の影響要因と日本人看護師の転職理由を比較し日本の転職の特徴を捉えること、今後の転職モデルを検討する上での示唆を得ることを目的とした。 転職の影響要因の抽出では、海外文献レビューを行い、597の文献が抽出された。条件を満たした文献17件を検討対象とし、転職の影響要因をカテゴリ化した。日本看護師の転職理由の抽出では、質問紙による実態調査を行った。 海外文献において、看護師の転職要因は、【Personal factors】【Organizational factors】【Relationship factors】【Career development factors】【Job demand factors】【Job attitudes factors】【Well-being factors】【Management factors】の8カテゴリに分類された。転職に至るプロセスでは、Job attitudes factorsがネガティブに変化すると転職に至ることが報告されていた。これらは国内の先行研究と同様の結果であった。海外の文献の注目すべき点として、個人主導によるキャリア形成の視点が転職モデルには必要であることが指摘されていた。 日本人看護師の転職理由について、海外文献の文献レビューから抽出された8カテゴリに従って分類した結果、特徴的な項目は【Personal factors】の「帰郷」だった。「帰郷」は日本の転職を捉える上での重要な現象であることが示唆された。今後、転職モデルを検討する上では、個人主導によるキャリア形成の視点を説明変数に含む必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内外の文献調査を行い、最新の研究動向を把握するとともに看護師の転職についての仮説を精緻化することができた。また、計画的行動理論をフレームワークとして転職モデルを設定することができた。申請書の研究目的の平成27年度予定をほぼ達成した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画はおおむね順調に進行しており、研究計画の変更は必要ない。 看護師独自の転職モデルを開発し、転職者が定着するための介入方法を検討するために、平成28年度は質問紙調査を実施する。初めに、平成27年度において設定した転職モデルに基づき質問紙を作成し、質問項目の妥当性を検証する。方法としては、本研究の承諾を得られた一般病院に勤務する看護師を対象として予備調査を行い、内容妥当性の検討を重ねる。本調査の対象者は、全国の200床以上の病院に2年以上勤務する看護師1600人を予定している。郵送法による質問紙調査を実施し、得られたデータを定量的に分析し、仮説の検証をすすめる。 万が一計画通りに進行できない場合は、所属する研究室教授に指導を仰ぐことが可能である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、文献複写費、図書購入費、研究成果の学会発表かかる旅費が予定よりも多かったため、データ入力を委託せず、人件費が発生しなかったことがあげられる。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用額は平成28年度の質問紙調査の経費に充てる予定であり、申請書の研究計画を変更する必要はない。
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