本研究は計画的行動理論の枠組みに基づき,看護師の転職に対する態度を検討することを目的とした。第一調査では転職行動を規定する「認知的態度」「主観的規範」「行動の統制感」の構造を確認した。第二調査では,看護師の転職の意思決定プロセスモデルを確認した。その結果,転職意思が生起されやすい看護師にとって転職とは,職務の完遂によって得られる個人的心理満足を獲得することであり,この感覚が得られない場合に転職意思が生起されることが示唆された。定着支援を行うためには,個人的満足を得られない状況にいる看護師に対して,満足感をもたらす代償物や代償行動について話し合いの機会を持つ必要がある可能性が示された。
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