研究課題/領域番号 |
15K20661
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
駒形 和典 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80735720)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 看護 / 経鼻胃管 / 超音波検査 |
研究実績の概要 |
【目的】経鼻胃管が気道内へ誤挿入されると肺炎などの合併症が引き起こされる。そのため経鼻胃管の挿入後に経鼻胃管が胃内へと留置されていることを確認する必要がある。しかし現在ゴールドスタンダードとして用いられているレントゲン検査は被曝や在宅では使用できないという問題がある。またその他の確認方法である聴診法や吸引法は経鼻胃管の位置を直接視認することができないという問題がある。そこで本研究では超音波検査装置を用いて経鼻胃管の留置位置の確認が行えることを明らかにすることを目的とした。初年度は経鼻胃管の描出が困難とされるサイズの小さな経鼻胃管を確認するための方法を検討した。 【方法】本研究は横断研究であり、レントゲン検査にて既に経鼻胃管が胃内に留置されていることを確認された患者を対象とした。研究を行うにあたり東京大学医学部倫理員会の承認を得ている。対象者の頸部および腹部に対して超音波検査を実施し、経鼻胃管の描出の有無を確認した。超音波検査の実施にあたり、経鼻胃管の描出を容易にするために文献等より検討した結果、吸引法と体位変換を取り入れた確認方法を用いることとした。 【現在の実施状況】研究参加に同意を得られた10名を対象に超音波検査を実施した。頸部、腹部ともに10名中8名の対象者で経鼻胃管の確認を行うことができた。またこれまでに成人を対象とした研究では報告のない8Frという小さなサイズの経鼻胃管の確認も行えることが明らかとなった。 【意義と重要性】 小さなサイズの経鼻胃管でも超音波検査によって留置位置の確認が行えることを明らかにすることでより多くの対象者に対して超音波検査による確認方法が適用できる。さらに在宅などレントゲン検査を実施できなかった対象者に対して超音波検査を用いて経鼻胃管の留置位置を確認することで安全に経鼻胃管を使用することができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画通り経鼻胃管の描出を容易にする超音波検査方法を用いて対象者の経鼻胃管を確認することができたため、おおむね順調に進展していると判断した。 ただし、症例数が現時点で10名であることから、初年度に得られた知見の一般性をより多くの患者にて確認する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究は経鼻胃管の確認方法を確立させることが目的であったため、既に経鼻胃管の胃内への留置が確認されている患者を対象に研究を行った。次年度は臨床現場に即した状態である経鼻胃管を挿入直後の患者を対象に研究を行う予定である。またその際に超音波検査の有用性を明らかにするためにレントゲン検査との比較も行う予定である。 初年度に購入を予定していた超音波検査装置の販売が延期となったため初年度は研究室が所有していた超音波検査装置を用いて研究を実施した。しかし、購入予定であった超音波検査装置と同等の機能を有した超音波検査装置を次年度に購入できる見込みであるためその費用負担が生じる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度に購入を予定していた超音波検査装置の販売が延期となったため本年度は研究室が所有していた超音波検査装置を用いて研究を実施した。しかし、購入予定であった超音波検査装置と同等の機能を有した超音波検査装置を次年度に購入できる見込みとなったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
5月までに超音波検査装置を購入するための費用にあてる予定である。
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