経鼻胃管が気道内へ誤挿入されると肺炎などの合併症が引き起こされる。そのため経鼻胃管の挿入後に経鼻胃管が気道内へ誤挿入されずに胃内へと留置されていることを確認する必要がある。しかし現在ゴールドスタンダードとして用いられているレントゲン検査は被曝や在宅では使用できないという問題がある。またその他の確認方法である聴診法や吸引法は経鼻胃管の位置を直接視認することができないという問題がある。 近年超音波検査装置を用いて経鼻胃管の位置の確認が行えることが報告されている。超音波検査装置は従来の確認方法と比較し、対象者のいるその場で非侵襲的に経鼻胃管を可視化することができるという利点がある。加えて、超音波検査装置の小型化も進んでおり、ハンドサイズやタブレットサイズといった携帯型の超音波装置が登場している。そこで本研究では携帯型の超音波検査装置を用いたエコー検査によって経鼻胃管の留置位置の確認が行えることを明らかにすることを目的とした。 研究デザインは横断研究であり、経鼻胃管を留置中の患者に対して、携帯型の超音波検査装置を用いて経鼻胃管の位置の確認を行った。確認部位は食道胃接合部と頸部食道の2か所で行った。エコー検査は、エコー検査についての教育を受けた看護師1名が実施した。研究を行うにあたり東京大学医学部倫理員会の承認を得た。 研究参加に同意を得られた12名を対象に超音波検査を実施した。用いられた経鼻胃管のサイズは8Frから16Frであった。食道胃接合部、頸部食道ともに12名中10名の対象者で経鼻胃管の確認を行うことができた。また全ての対象者が、少なくとも食道胃接合部もしくは頸部食道のどちらか一方で経鼻胃管の確認を行うことができた。 本研究より携帯型の超音波検査装置を用いて経鼻胃管の留置位置の確認を行えることが示唆された。
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