本申請では、臨床現場で教育的役割を担う看護師には、看護実践力のみならず、教育する上での能力としての教育力が重要であると考え、アセスメントツールを開発することを第一の目的とした。 平成30年度には、平成29年度に見直したアセスメントツールをもとに、19名に対してパイロットスタディを行った。パイロットスタディでの結果や意見をもとに、質問項目100の質問紙を作成した。事前に看護管理者からの承諾が得られた全国8病院、158名の対象者に無記名の質問紙を送付した。その結果68名の看護師から回答があった(回収率43.0%)。結果については現在分析中である。 また、計画当初は、病棟に勤務する看護師に焦点を当てていたが、大規模な病院における教育プログラムや教育力の育成は、制度改正もありかなり進んできている。しかし地域で包括的な援助を行う訪問看護ステーションなどの小規模事業所における看護師の研修の動向や教育力の育成状況なども考慮した尺度やプログラムを開発していく必要があると考えた。そのため、平成30年度は一部計画を修正し、介護サービス情報公表制度システムのデーターベースを用い、各事業所における教育研修状況の分析をし、教育力育成につながる内容の把握や分析も行った。 データベースは2015年度版介護サービス情報公表制度システムを用いた。登録されている訪問看護事業所のうち、所在地が東京都の833事業所のうち条件を満たす311事業所を対象として、テキストマイニングンを用いた混合研究法をした結果、東京都の訪問看護事業所における教育・研修内容ならびに事業所規模による実施状況の実態と課題が明らかになった。これまでこのような実態は明らかになっていなかったため、今後訪問看護師の教育力を高める教育研修体制を考えるうえで、重要な示唆が得られた。
|