本研究は、がん化学療法中の患者の便秘症状について、看護技術での改善を探求するものである。対象の苦痛を緩和し、できるだけ自然に近い形で排便が行える様に、侵襲性が低く便秘症状の改善効果と安全性 が確認された看護技術である温罨法技術を用い、がん化学療法中の成人女性への便秘症状への効果について検討した。 本年度は、これまでの研究段階で得られた結果を基に、がん化学療法中の患者の便秘症状を有する対象者に対して温罨法を実施し、便秘に関する自覚症状および排便状態の改善について調査を行った。結果、対象の症状の悪化等で十分なデータを取得することができなかった。また、治療中かつ高齢の対象者に対して、より簡易的にデータ収集を行うことが可能になる調査方法について検討する余地があることが分かった。これまでの研究では、ほとんどが健康な成人が対象であり、治療を実施継続している対象者でのデータがなかったことから、対象選定および疾患を有する、あるいは治療中の対象者への温罨法の実施における課題が明らかになった。 今後は、疾患を有する対象者への温罨法の実施研究の第一段階として、術後の対象者など、便秘に限らず腸動の改善を必要とする対象者に対する介入研究を実施し、安全性、効果に関するデータを蓄積するとともに、治療中の対象者に対しても実施を拡大していけるように研究を進める。
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