研究実績の概要 |
平成28年度は,転倒リスク行動アセスメントツールを使用した場合の看護師に生じる変化を調査した.使用後3ヶ月後の変化を元に20項目の設問を作成し,使用後1年後に生じた変化を5段階リッカート尺度で調査したところ,全項目においてなんらかの変化があった.大きな変化があったのは,順に「観察点が増えた」(平均4.0, SD0.6),「転倒リスクの再確認ができた」(平均3.9, SD0.6),「アセスメントの重要性を再認識した」(平均3.8, SD 0.8)であった.最も変化が小さかったのは,「前回の記入を何度も見たことでアセスメントのチェックができた」(平均3.2, SD0.8)であった.因子分析で分類したところ,アセスメント視点の拡大,アセスメントの意識化,状況に応じた安全行動の確認,多面的なリスクアセスメントの必要性認識が抽出され,転倒リスク行動アセスメントツールの看護師にとっての効果が示された.患者と看護師の転倒リスク行動アセスメントの評価者一致性についても半数のデータ収集を終えた.患者が捉える転倒予防については,分析中であるが,追加分析として患者の転倒経験からもツール有用性の評価を試みた.入院中に転倒した経験をもつ患者(5名)の語りから,「転倒してもいいから運動したい」「体が動かなるほうが怖い」「自分でできることは自分でしたい」「生活行動についてはなるべく看護師に援助されたくない」という経験が明らかになった.最終年度では,残りの調査を終え,全体の統合から,転倒リスク行動アセスメントツールの有用性を評価する.
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